記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/6
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
甲状腺機能の異常によって甲状腺ホルモンの分泌が適切に調整できなくなる病気を「甲状腺機能低下症」と言います。
今回は、甲状腺機能低下症の治療について、治療に使われる薬の種類やその効果・副作用、また妊娠時の服用の可否について解説していきます。
甲状腺機能低下症の治療に使われる薬のうち、特に代表的なものとして「チラーヂンS®」と「チロナミン®」が挙げられます。
以下からは「チラーヂンS®」と「チロナミン®」、それぞれの薬の特徴や服用方法、効果をご紹介します。
thyroxine(T4)と呼ばれるホルモンからできており、体内でtriiodothyronine(T3)という活性型のホルモンに変換させることで、甲状腺機能低下症に作用する薬です。
1日1回、朝食後に錠剤を服薬します。
飲む量は患者の体質や症状によって異なりますが、少量から始めて、医師の指示に従って少しずつ服薬量を増量していくのが一般的です。
チラーヂンS®と異なりtriiodothyronine(T3)からできているため、体内でホルモンの種類を変換する必要がないため、効果が早く出てくるのが特徴です。
ただし、効果が早い分消失するのも早く、効果の持続時間も短くなります。
1日1~3回、医師の指示に従って食後に錠剤を服用します。
服用の回数・量は患者によって異なり、チラーヂンS®と同様はじめは少量から飲み始め、医師の判断で少しずつ増量していきます。
即効性の高い甲状腺ホルモンの濃度上昇
チラーヂンS®、チロナミン®ともに、もともと体内に存在するホルモン(T4またはT3)からできているため、基本的に副作用があらわれにくい薬であると言われています。
ただし、服用量が多すぎると逆に甲状腺ホルモンのバランスが乱れる原因となってしまい、動悸、汗をかきやすくなる、手指が震えるなどの副作用があらわれるケースもあります。
このような副作用が出た場合には、すぐに医師に連絡し、服用量を変えられないか相談してみると良いでしょう。
ただし、自己判断で薬の量や飲み方を変えると甲状腺機能低下症の症状がひどくなったり、副作用が強く出たりする危険があります。必ず医師の指示を仰ぎましょう。
チラーヂンS®、チロナミン®などの甲状腺機能低下症の治療薬は、妊娠・授乳中の女性が服用しても母体や胎児に悪影響を与えることはないとされるため、継続して服用できます。
むしろ、甲状腺機能低下症の患者が安定した妊娠を継続するためには、薬による甲状腺ホルモン・甲状腺刺激ホルモンのコントロールは欠かせません。
妊娠週数が進むごとに、適性な甲状腺ホルモン量や治療に必要な薬の量も変わってきますので、妊娠中も定期的に検査を受け、必要に応じて医師に薬を処方してもらう必要があります。
甲状腺機能低下症の治療に、チラーヂンS®・チロナミン®など、甲状腺ホルモンの補充、または甲状腺刺激ホルモンを抑制してくれる薬は欠かせません。これらの薬は、医師から指定された用法・用量を守っていれば副作用も少なく、妊娠しても継続的に服用できる、患者の強い味方です。この記事を参考に、治療薬の効果や特徴、副作用への理解を深めて、あなたの甲状腺機能低下症の治療にお役立てください。