記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/5/31
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
抑うつと躁状態を周期的に繰り返す気分障害である「双極性障害」の治療は、投薬両療法をメインに行われます。
今回は、誰でもなりうるからこそ知っておきたい双極性障害の治療薬について、種類や効果、副作用、服用の期間などについてご説明していきます。
気分が落ち込んだ抑うつ状態から、気分が高揚する躁状態まで、双極性障害の患者は気分のふり幅が大きくなるのが特徴です。
そこで、双極性障害の患者には気分のムラを小さくするために、うつ・躁状態を改善するための「気分安定薬」と「抗精神病薬」、再発予防のための「その他の薬」が処方されます。
気分を落ち着かせる作用のあり、抗うつ・抗躁状態・再発予防すべての効果が期待できます。
代表的な気分安定薬としては、以下の4種類が挙げられます。
※()内は別名、一般名
主に抗うつ・抗躁状態の作用があり、種類によっては再発予防効果を見込めるものもあります。
抗精神病薬のなかでも、特に双極性障害の治療によく使われるのは以下の5つです。
※()内は別名、一般名
ここまでに紹介した気分安定薬、抗精神病薬の補助的な役割として、甲状腺ホルモン剤やドパミンの分泌にかかわる、以下のような薬を使うこともあります。
上記はそれぞれ、身体の代謝や精神状態を左右するホルモンなどに働きかけることで、気分安定薬、抗精神病薬とあわせてうつ状態の改善を目指すためのものです。
双極性障害の治療は、前項でご紹介した気分安定薬、抗精神病薬などの薬を、病気の状態・時期によって使い分けてすすめていくのが一般的です。
病状には「躁病相」「うつ病相」「寛解期」の3段階あり、それぞれの状態と使うべき薬は、以下の通りです。
気分が高揚し過ぎている躁病相では、気分安定薬または抗精神病薬を中心に投与します。
躁の症状が急激なら比較的作用の強い抗精神病薬、緩やかなら気分安定薬が使われます。
ただし、あまりに急激に気分を鎮めると逆にうつ状態に陥ることもあるため、通常は気分安定薬のうち、リーマス®やデパケン®が使用されるケースが多いといわれています。
気分が落ち込むうつ状態には、向精神薬のセロクエル®、または気分安定薬のリーマス®とラミクタール®の併用で、症状の改善をはかるケースが多いです。
また、患者の体質によっては、その他の薬のうち抗うつ薬のリフレックス®、レメロン®、ジェイゾロフト®が使用されることもあります。
うつと躁の両方の症状が落ち着き、気持ちが安定している寛解期には、再発予防のために気持ちの高低差を少なくしていく治療が行われます。
再発予防効果が認められている薬としては、以下の向精神薬・気分安定薬が挙げられます。
双極性障害の治療に使われる薬のうち、気分安定薬には副作用が確認されています。
以下に、それぞれの薬の副作用をまとめて解説しますので、参考にしてください。
双極性障害は、うつ病など他の気分障害と比較しても、再発率の高い病気です。
再発を避けるためには、症状がおさまってから寛解状態になってからも3~5年程度、人によっては一生涯にわたって、内容や量を変えながら薬の服用を続ける必要があります。
また、薬の量や内容を変えるときには、血液検査や医師による診断が必要です。
寛解状態になった後も定期的に病院に通い、絶対に自己判断で薬の服用を中止することのないようにしてください。
投薬がメインとなる双極性障害の治療では、気分の異常な高ぶりや落ち込み、また気分のムラをなくすために、医師の指示に基づいて薬を服用していきます。適切なタイミング・質・量の薬を服用すれば寛解状態になることも可能ですが、非常に再発しやすいため、服薬は数年単位または一生涯の長期にわたって続ける必要があります。辛い状態から抜け出すためにも、医師の指示による適切な服薬治療は続けてください。