食中毒の種類にはどのようなものがあるのでしょうか?また、どのような症状が起こるのでしょうか?食中毒の種類や症状について解説していきます。
食中毒の種類って?
細菌性食中毒とは
細菌性の食中毒には、感染型と毒素型があります。
- 感染型
細菌に感染している食品を摂取することにより、体内に入った細菌が病原性を持ち発生する食中毒。
- 毒素型
食品内で細菌により作られた毒素を摂取することにより発生する食中毒。
細菌性感染型食中毒
- 腸炎ビブリオ
塩分を好む性質があるので、生魚などの魚介類に多く存在する。
夏期〜秋口にかけて多発し、真水や酸に弱い特徴がある。
- サルモネラ
鶏卵や食肉(特に鶏肉)に多く存在し、家畜・ペット・下水などにも発生する。
熱に弱い特徴があり、少量の摂取でも食中毒に至る。
- 病原性大腸炎
様々な食品や井戸水に多く存在する。
熱や消毒剤に弱い特徴があり、少量の摂取でも食中毒に至る。
- カンピロバクター
食肉(特に鶏肉)や飲料水に多く存在し、ペットを含む様々な動物にも発生する。
少量の摂取でも食中毒に至る。
- ウェルシュ菌
水や土壌に存在し、特にカレーやシチューなどの食肉加熱調理品に多く発生する。
生育に酸素を必要としない細菌(嫌気性菌)。生育環境が悪くなると、芽胞を作って耐える性質がある(芽胞形成菌)。
- 赤痢菌
貝などの海産物、水、生野菜などに多く存在する。1〜7日の潜伏期間を置いて3日以内に発症し、激しい腹痛・下痢・下腹部痛・血便などを伴う。
- コレラ菌
貝類やエビなどの海産物や水に多く存在する。人の腸管内で増殖する。10時間〜5日の潜伏期間を置いて、1〜2日以内に発症する。下痢や激しい嘔吐などを伴う。
- エルシニア・エンテロコリチカ
食肉、豚肉などの加工品、乳、乳製品に多く存在する。28〜32℃または低音0〜4℃で増殖する。24時間〜36日の潜伏期間を置いて1〜2日以内で発症し、頭痛・発熱・下痢などを伴う。
- リステリア・モノサイトゲネス
乳製品(フレッシュチーズなど)、食肉(生肉、醗酵ソーセージなど)に多く存在する。低温貯蔵中に増殖し、酸に強い特徴がある。
細菌性毒素型食中毒
- 黄色ブドウ球菌
おにぎり、サンドイッチなどに多く存在する。
人や動物の化膿創、手指、鼻咽喉などを介して感染する。
- セレウス菌
穀物加工品、チャーハンなどに多く存在する。
自然環境に広く分布しており、食品内で増殖した後に毒素を作り出す。4〜50℃で発育し、生育環境が悪くなると芽胞を作って耐える(芽胞形成菌)。
- ボツリヌス菌
魚肉発酵食品、いずしなどに多く存在する。食品内で増殖した後に毒素を作り出す。生育環境が悪くなると芽胞を作って耐える(芽胞形成菌)。
ウイルス性食中毒とは
ウイルスが含まれている食品を摂取したり、人の手を介して感染する食中毒です。その原因の大部分がノロウイルスによるものといわれています。
- ノロウイルス
二次汚染された食品、牡蠣やハマグリなどの二枚貝に多く存在しています。人の腸内で増殖する特徴があり、少量でも感染し、10月~4月に発生率が高くなるといわれている。
食中毒になるとどんな症状が出てくるの?
食中毒とは、食品の摂取により発生する、下痢・嘔吐・発熱などの症状の総称で、数日~2週間ほど続く傾向があります。
下痢や嘔吐などの症状は、腸内で増殖した細菌やウイルスを体外に排出するために起こります。そのため、下痢止め薬の使用により体内に長期間細菌やウイルスが留まり続けると、毒素が産生され重症化する恐れがあります。下痢止め薬や吐き気止め薬は、安易に使用しないように注意しましょう。
ただし、下痢や嘔吐の症状が長引くと、体内の水分や電解質が失われて重症化するケースもあります。特に高齢者や子供は脱水症状により重症化する場合が多いので、すぐに医療機関を受診しましょう。
おわりに:食事後に嘔吐や下痢が続く場合は医療機関の受診を
食中毒は、細菌によるものとウイルスによるものとに分けられ、発生源となる食品も様々なものがあります。食品を食べてから下痢や嘔吐などの症状が続く場合は、注意が必要です。また、症状が悪化してしまう場合があるので、下痢止め薬や吐き気止めの自己判断での使用は控えましょう。
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