記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
下痢の多くは自然に治っていきますが、できれば早く治したいですよね。市販の下痢止めを使うと後々便秘になってしまったことはないでしょうか。そこで検討して欲しいものに漢方薬があります。
ここでは、下痢に効果があるとされている漢方薬を紹介しているので、参考にしてください。
下痢は腸の働きや腸内の状態に異常が起こったときになるものです。
正常な腸では、内容物が通過する際に水分が体内に吸収されて適度な水分を含む便ができます。
しかしこの水分量の調節機能に異常が起こり、腸から体内への水分吸収が不十分なときや、腸からの水分分泌が増えると、便中の水分が増加して下痢になります。
下痢には突然起こって短期間ですぐに治まる急性のものと、1か月以上慢性的に下痢の状態が続く慢性下痢があります。
急性下痢の場合に効果が期待できる漢方には以下のものがあります。
むくみをはじめ、頭痛やめまい、下痢などの原因となる水分が体にたまった状態を、漢方では「水滞」と呼びます。
水分代謝がうまくいかず、体のあちこちに異常を引き起こすことを指します。
五苓散はこの水滞を改善効果が期待できる代表的な漢方で
などのある人のむくみ、頭痛や下痢のときに処方され、子供の下痢にも使われます。
胃腸の不調に多く用いられ、吐き気や食欲不振があったり、おなかがごろごろ鳴る下痢だったりする人に処方されます。
などの症状にも効果が期待できます。
腹部の冷えによる消化吸収機能の低下が原因と考えられる慢性下痢には、下記の漢方が効果的であると考えられます。
私たち日本人に古くから馴染みのある人参は、多くの漢方に配合されています。
この人参を主薬とする人参湯は、胃腸全般の調子をよくするものです。
これといった病気があるわけではないけれど、なんとなく胃腸の働きが不調な人や食欲がない高齢者にも向いています。
全身の冷えやめまいがあり、下痢をしやすい人に向いている漢方です。
人参湯や真武湯の効果がみられないときに有効と考えられる漢方です。
悪寒や手足の冷えがあり、虚弱な体質や体力を消耗している人に用いられます。
体の深部から温める効果が期待できる漢方です。
漢方医学では、下痢は主に冷えが原因であると言われています。
体が冷えることで下痢を引き起こす原因となる過剰な水分が胃腸にたまり、腹痛、お腹が張る、下痢などのさまざまな症状があらわれます。
下痢止めなどの薬を服用すると一時的に下痢の症状は改善しますが、今度は逆に便秘で悩む人もいます。
また、日常の疲れや生活習慣などが原因で胃腸そのものが弱ってしまい、下痢を繰り返すこともあるでしょう。
漢方薬のなかには、体を温めることで余分な水分を体外に排出してくれる働きがあるとされているものがあります。
単に下痢を止めるだけでなく、胃腸の状態を正常に戻す効果があり、慢性化して治りにくい下痢でも漢方を用いることで体質から改善できて高い効果が望めるのです。
同じ下痢の症状の人であっても、同じ漢方が処方されるわけではありません。
下痢に効く漢方は複数ありますが、ひとつの漢方が誰にでも効果があるとは言えないからです。
きちんと医師の診察を受け、その人に合った漢方を処方してもらうことが大切です。