記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/14 記事改定日: 2019/1/9
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
特に高齢者は、加齢に伴う心臓や筋肉の衰えで心不全を再発しやすくなるといわれていますが、再発を予防するためにできることはないでしょうか?
今回は食事や運動など、日常生活で取り入れたい心不全の再発予防対策についてご紹介します。
心不全の治療後の予後は、重症度や全身の状態によって大きく異なります。
軽度の息切れや動悸、むくみのみで日常生活に大きな支障を来たしていない場合には、適切な治療を行えば治る可能性が高いです。
一方、強い症状が生じて日常の活動が制限されたり安静が必要になるような重症な心不全は、治療を行ったとしても発症してから一年間の死亡率は20~30%にも上ります。
また、心不全は再発を繰り返しやすいのも大きな特徴の一つです。治療が終わったあとも、再発を予防するために、適切な食生活や運動習慣、生活リズムを維持するように心がけましょう。
心不全の再発を予防するための食事において、ポイントとなるのが塩分です。
塩分であるナトリウムは体に水をため込むという性質があるため、体の中の血液量が増えてしまいます。そうすると心臓に負担がかかり、結果として心不全の再発に繋がります。そのため、塩分摂取量は1日6g未満を目標とすることが望ましいです。
まずは、塩分の多く含まれている汁物や漬物は食べる回数と量を減らしましょう。ラーメンなどの麺類の汁は残すようにすると良いです。日本人は和食の文化であり食事にみそ汁は必ずついてくるというご家庭が多いかと思います。その場合は具を多めにして汁を少なくするといった工夫をしましょう。
また、パンやうどんといった加工食品にも塩分が多く含まれているので、食べる機会を減らすようにして、調理のときには香辛料や香味野菜を活用して味をつけることをおすすめします。特に柑橘類などの酸味を利用すると塩分が少なくてもおいしい味付けをすることが可能です。
現在は、減塩しょうゆなど塩分が少ない調味料も売られているため、上手に活用していきましょう。
心不全の再発予防が期待できる積極的に摂りたい栄養はいくつかあります。
まずはカリウムです。カリウムは塩分であるナトリウムの血管収縮作用を抑制してくれるため、心不全の予防に効果的な栄養素です。
このほか、心臓に対して直接効果を発揮するといわれているのが、鉄分、EPA、マグネシウムです。
EPA(エイコサペンタエン酸)は、心不全を含む冠動脈疾患の予防に効果が期待されており、鉄分は心不全の予防として、1日10mg以上の摂取が推奨されています。マグネシウムも心臓の血管の筋肉を緩める作用があり、積極的に摂るべき栄養素といわれています。
また、タンパク質は動物性のものよりも植物性のものの方が心臓に負担を掛けないといわれているので、なるべく植物性のタンパク質を摂るようにしましょう。そして塩分を控えつつ、心不全の再発を予防する効果のある栄養素を効率的に摂取することが大切です。
心不全は重症度に合わせて運動が制限されるものの、制限しすぎると逆効果となります。
例えば、中等度で持久性のある運動は再発予防に効果的とされています。具体的には速足でのウォーキングや時速16km以下でのサイクリング、軽い水泳があります。また、ゴルフなどスポーツを通して歩行をするものも効果的です。
これらの運動を1回30分毎日行うのが理想ですが、週3~4回でも十分効果を発揮できると考えられています。
塩分を多く含む食事の摂取を控えたり、心不全の再発を予防する効果のある食材を取り入れたり、また適度な運動習慣をつけたりすることで、心不全の再発リスクを減らすことができます。どれも日常生活で行えるものばかりなので、ぜひ意識してみましょう。
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