脳梗塞の薬って副作用はないの?どんな薬を使って治療する?

2018/6/13

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

脳梗塞とは、何らかの理由で脳に酸素と栄養を送る脳の大動脈が詰まったり、狭くなってしまうことが原因で、脳組織が損傷してさまざまな症状を引き起こす病気です。
脳梗塞の治療は薬物治療がメインとなりますが、今回は脳梗塞の治療に使われる薬について、副作用の可能性や薬の種類を解説していきます。

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脳梗塞の薬の副作用は?

脳梗塞の治療には、主に発症原因である脳の血管の詰まりをできにくくするための抗血小板薬や抗凝固薬などと呼ばれる薬が使われます。

これらの薬剤には血を固まりにくくする効果があるため、薬の服用によって出血しやすくなる、また血が止まりにくくなるといった副作用が見られます。このためちょっとしたケガや、歯肉炎などが原因の口内の出血、皮下出血(青あざ)、内臓からの出血も止まりにくくなるため、出血傾向が見られたら、早めに医師に相談しましょう。

また、人によっては出血傾向以外にも胃もたれや胸やけ、頭痛、倦怠感などの副作用が起こる場合もあります。

脳梗塞の治療で使う薬の種類は?

次に、脳梗塞の治療に使われる治療薬の種類について見ていきましょう。以下では、脳梗塞を発症してすぐの「急性期」、そして発症から一定の期間が経過し、比較的病状が安定している「慢性期」に分けて、治療に使われる薬の種類をご紹介します。

脳梗塞の「急性期」に使用される代表的な治療薬

できてしまった血栓を分解しやすくする「血栓溶解薬」
⇒t-PA(アクチバシン)、ウロキナーゼ など
血栓をできにくくする「抗血栓薬・抗血小板薬」
⇒アルガトロバン  など
脳梗塞による脳のむくみを防ぐ「抗浮腫薬」
⇒グリセレブ、マンニトール など
脳を守り、症状の悪化を防ぐ「脳保護剤」
⇒エダラボン など

急性期には、主に脳梗塞の原因である血管の詰まりの解消や、これによる脳の壊死・身体のむくみなどの諸症状を抑えるための薬が多く使われているのがわかります。

脳梗塞の「慢性期」に使用される代表的な治療薬

脳梗塞の一因となる高血圧・高脂血症などを治療する「基礎疾患治療薬」
⇒カルシウム拮抗剤、スタチン製剤 など
血栓をできにくくする「抗血栓薬・抗血小板薬」
⇒ワーファリン、アスピリン など
脳の血流を良くする「脳血流改善薬」
⇒イフェンプロジル など
脳梗塞によるその他症状を改善するための「症状改善薬」
⇒抗てんかん薬 など

慢性期には、脳梗塞の原因疾患の治療や血流・血栓をコントロールする薬、また脳梗塞による後遺症を軽減するための薬が主に投与されます。

脳梗塞の再発を予防する薬は?

脳梗塞の患者さんは、体質や生活習慣などによって血液が凝固しやすい状態のため、再発しやすい傾向にあります。

また、慢性期治療に使われる抗血栓薬は、服用を続けても体調や数値として効果を実感しにくいため、薬の効果を軽視して自己判断で服薬を中止する患者さんも少なくありません。しかし、服薬の中止により脳梗塞を再発させる患者さんは非常に多いです。
このため、一度脳梗塞を発症すると、再発防止のために一生「抗血栓薬」を服用し続ける必要があります。

脳梗塞は、その後の人生をともに過ごす持病であると捉えて、医師の指示する用法・用量に従い、継続的に抗血栓薬の服用を続けることが重要です。

おわりに:脳梗塞の治療に使われる薬の種類は、急性期・慢性期かによって変わる

脳梗塞の治療に使われる薬の種類は、発症からの期間・症状によって変わってくるのが一般的です。ただ、共通しているのは脳梗塞の原因となる「血栓」の発生を防ぐために、血が固まりにくくする効果のある薬が使われているという点です。このため、代表的な副作用としては出血しやすくなり、止血しにくくなる出血傾向が挙げられます。脳梗塞の治療薬は一生涯服用し続ける必要があることとあわせて、覚えておいてください。

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