記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/23
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
恐怖や不安を感じるものは人によってさまざまだと思いますが、それが何であれ、おびえながら毎日を過ごすのは気分がよくないものです。この状態を少しでも改善したいと思ったときは、以下にご紹介するヒントをどれかひとつ試してみてください。
恐怖や不安で押しつぶされそうになったときは自由に考えられなくなっているため、的確な判断を下すことは難しいです。このような場合、最初にやるべきことはほんの少しでも立ち止まることです。自宅や会社の周りをぐるっと歩いたり、お茶をたくさん飲んだり、お風呂にゆっくり浸かったりしましょう。
心拍数が早くなったり、または手のひらに汗をかき始めたら、パニックに陥り始めているサインです。パニックに陥っていると感じ始めたら、今いる場所に留まり、パニックとじっくり向き合ってください。手のひらを胃の上に置き、ゆっくりと深呼吸するだけで大丈夫です。深呼吸は、心がパニック状態に慣れ、対処するのに役立ちます。
恐怖や不安を避けることは、その恐怖や不安を増やすだけです。自分が感じている恐怖や不安が何であれ、それに向き合えば消え始めます。たとえば、エレベーターに乗るのが怖かった場合は、翌日もう一度エレベーターの前に立つのが最善の解決策なのです。
これから起こりそうな最悪の事態をイメージしてみてください。おそらく、パニックに陥ったり、心臓発作を起こそうになったりすると思います。その後、心臓発作が起きたことを思い浮かべてください。でもおそらく、本当に心臓発作にはならないと思います。つまり、自ら不安や恐怖を追えば追うほど、恐れは逃げ出すのです。
たとえば、エレベーターに閉じ込められて窒息するのではないかと不安になっている場合は、これまで実際にエレベーターに乗って窒息した人がいるかどうか自問自答してみてください。また、もし似たような恐怖心を持つ友人がいたとしたら、どんな言葉をかけるかを思い浮かべてみてください。
目を閉じて、自分が安心できる静かな場所にいることをイメージしてみてください。美しい浜辺を歩く姿や猫に寄り添っている姿、あるいは幼い頃の幸せな思い出かもしれません。リラックスしていると自分で感じるまでイメージしてみてください。
「物事を完璧にやらなければいけない」考えると、ストレスでいっぱいになってしまいます。最悪の場合、ミスをするのが怖くなって、かえって何もできなくなってしまうことも考えられます。人生には運の悪い日もあるし、誰にでも挫折することはあります。人生は複雑である、ということを覚えておくのも大切です。
恐怖や不安を誰かに打ち明けることで、心の傷みがかなり和らぎます。パートナーや友人、または家族に話すのがお勧めですが、打ち明けづらい場合は、カウンセラーに打ち明けてみてください。
不安を打ち消すために、アルコールや薬物に頼る人は多いですが、これらは事態を悪化させるだけです。質のよい睡眠や健康的な食事、散歩やサイクリングといった日常的な運動は、恐怖や不安を和らげる一番の治療法になります。
恐怖や不安に対処できたときは、自分にごほうびをあげましょう。たとえばマッサージに行く、外食する、欲しかった本やDVDを買う、自然の中を散策するなど、小さなプレゼントを自分に与えて恐怖や不安を克服した成功体験をよりよいものにしましょう。
上記にご紹介した10個のヒントは、日常生活の中で恐怖や不安を感じている人に向けたアドバイスです。不安に関連した病気と診断されている場合は、かかりつけの医師に相談してみてください。