前立腺がんの放射線治療ってどんな種類があるの?副作用は?

2018/6/12

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

前立腺がんの放射線療法には、外から放射線を照射するものと体の内部から照射するものがあります。それぞれメリットとデメリットがありますので、わかりやすく説明していきます。また、手術のメリットデメリットも紹介していくので、この機会に、それぞれの治療法のメリットとデメリットを理解しましょう。

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前立腺がんで行う放射線治療の種類は?

「放射線療法」は、外から放射線を照射する「外照射法」と、体の内部から放射線を当てる「組織内照射法」に大別されます。

外照射法

外照射法は、リスクを考えホルモン療法が併用されることもあります。最近では、コンピューター制御によって放射線に強弱をつけて多方向からの放射線を組み合わせ、必要な個所に強い放射線を当てる「IMRT(強度変調放射線治療)」という方法が主流となっています。これにより、線量を高くしながら周辺組織への影響を減らすことができます。

組織内照射法

組織内照射法は、前立腺に「密封小線源」とよばれる低線量の放射線を放出する物質が密封された小さな粒状の容器を埋め込む方法です。小線源はそのまま残されますが、線量は徐々に減って1年後にはほぼなくなります。外照射よりも軽く短期間で治まり、長期的な影響の心配もありません。再発や転移のリスクが高い場合は、外照射と併用されるのが一般的です。

前立腺がんの放射線治療でどんな副作用がある?

治療中の副作用としては、膀胱の粘膜が刺激されることで起こる「頻尿」がもっとも多く、尿道の炎症が原因で「排尿時痛」が起こることもあります。

治療終了後しばらくして起きる副作用としては、終了後1~3年の間に血便が出る「直腸出血」がよくみられ、症状の程度によってはレーザー治療を行うこともあります。
また血尿が出る「膀胱出血」がみられる場合もあり、ひどくなる場合はあまりありませんが、血液がたまって尿が出なくなってしまう「膀胱タンポナーデ」のような場合には、緊急な処置が必要となります。

そのほか、下痢や直腸、肛門の炎症、性機能の低下などがみられることがあります。

放射線治療と手術、どっちを選べばいいの?

放射線療法、手術療法とも転移のないがんの根治を目的として行われます。

手術は、前立腺がんは臓器内に多発する性質があることから「前立腺全摘除術」となることが大半であり、

  1. 前立腺を周囲の臓器ごとすべて摘出
  2. その後排尿路を確保するために膀胱と尿道をつなぎ直す

という流れで進められます。

  • 長期にわたる病状のコントロールが期待できる
  • 病理診断で状態を調べられる

というメリットがありますが、

  • 入院が必要となる
  • 結果によっては放射線治療の追加が必要になる
  • 副作用として尿失禁が起こりやすい

などのデメリットがあります。

放射線療法には

  • 痛みがない
  • 通院で治療ができる

というメリットがありますが、

  • 治療期間が長い
  • ホルモン剤を併用する場合がある
  • 再発した場合は手術をするのは難しい

といったデメリットがあります。人により副作用なども違ってきますので、メリット・デメリットなど、治療については担当医から十分に事前説明をしてもらい、納得したうえで治療方法を選択しましょう。

おわりに:放射線療法には外側からの照射、内側からの照射の2つの方法があり、膀胱や尿道等に副作用がでる可能性がある

放射線療法には、外から放射線を照射する方法と内側に放射線源を埋め込む方法の2種類があります。副作用として

  • 頻尿
  • 排尿痛
  • 排尿困難
  • 下痢、直腸
  • 肛門の炎症
  • 直腸出血
  • 性機能の低下

などが起こる場合があります。手術療法も含め、それぞれに長所と注意点があります。どの療法を選択するかは、専門医からよく話を聞いて決めましょう。

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