記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/23
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
漢方薬は、葉、根、花といった植物由来の成分を元に作られた薬です。自然の成分を使っているから安心して服用できると思う方がいますが、必ずしもそうとは限りません。実は、漢方薬には西洋医学でおなじみの治療薬と同じように、副作用があったり、用法・用量を正しく守らないと効果が出ないばかりか、体に害を与える可能性があります。
漢方薬を服用している、または服用を検討している場合は、以下のようなリスクがあることを心に留めておいてください。
・すでに他の薬を服用している場合、漢方薬を飲むことでその薬の効果を弱めたり、効果を強くしすぎたりすることがある
・漢方薬を服用後、副作用が起こることがある
・すべての漢方薬が認可を受けているわけではない(個人に販売されている漢方薬には、無認可の成分を含むものがあります)
また、漢方薬が病気の治療に効果的という証拠はまだそれほど多くない、というのもリスク要因のひとつです。
次のような人は、漢方薬の服用を控えたほうがよいと思います。ただ、もしどうしても服用したい場合は、事前に医師や薬剤師に相談してください。
・他の薬を服用している人
・肝臓疾患や腎臓病がある人
・手術を受ける予定がある人
・妊娠中または授乳中の女性
・高齢者
・子ども(他のすべての薬と同じく、漢方薬は子どもの目に触れない場所に保管したり、手の届かないところに置いたりしてください)
漢方薬を服用している場合、手術を受ける前に医師にその旨を伝えてください。その理由は以下のとおりです。
・漢方薬は、手術前後や手術中に使用される麻酔薬や他の薬の効果を阻害することがある
・漢方薬は、血液凝固を妨害したり、血圧に影響を与えることがあるため、手術中や手術後に出血のリスクを増加させる可能性がある
したがって、医師は手術までの数週間、漢方薬の服用を中止するように指導する場合があります。
インターネットや通信販売などで、気軽に漢方薬を入手することができるようになりました。でも、一見まったく問題ないように見えるウェブサイトだったとしても、実際は資格のない人が医師や薬剤師のフリをして表に出ていることもあります。
また、実物を手に取らないまま購入すると、場合によっては質の悪い漢方薬(偽物だった、期待する成分が思ったほど入っていなかった、禁止成分や有害成分が含まれていたなど)だったり、基準を満たしていなかったり、無認可の医薬品だったりするリスクがあります。
漢方薬は自然にあるものをベースに作られているため、西洋医学の薬より安全、と思いがちですが、漢方薬にも副作用があったり、体に害を与える可能性があったりします。また、すでに服用している薬がある場合、その効果に影響を及ぼすこともあります。特に、治療中の方や普段から飲んでいる薬がある方は、必ず服用前にかかりつけの医師もしくは薬剤師に相談し、漢方薬を飲んでも問題ないかどうかを確認してください。