記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/6/21 記事改定日: 2019/2/17
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
目のかゆみやくしゃみ、鼻水などさまざまな不快症状をもたらす花粉症。
この花粉症の重症化を防ぐ、症状を軽くするためには、どのような予防対策を行えば良いのでしょうか?3つのポイントに分けて解説していきます。
花粉を除去するために以下のことに気をつけましょう。
鼻や口から花粉が体内に入るのを防ぐため、外出時はマスクをするようにしましょう。マスクの装着により、体内に侵入する花粉の量を1/3~1/6にまで減らすことができるとされています。
また、花粉を防ぐためには顔の形に合ったマスクをつけることが重要なので、マスクを購入する際は、性能よりも顔へのフィット感を重視して選びましょう。さらに花粉除去率を上げるためには、マスクを装着する際に、中にコットンやガーゼなどを当てる「インナーマスク」が効果的だとされています。
目の症状がひどい人は、サングラスやメガネをつけるようにしましょう。
帰宅時は、服に付着した花粉を玄関前で払い落とし、家の中に持ち込まないようにすることが大切です。一緒に住んでいるご家族の方にも協力してもらいましょう。
手で払い落とすだけでも効果はあるのですが、花粉を線維から掻き出し吸引する専用のブラシなども販売されているので、活用してみるのも良いでしょう。
また、帰宅時に払うだけでなく、掃除もこまめにして室内やシーツ、カーテンなどに花粉がたまらないようにしましょう。
帰宅時は、手洗いやうがいと一緒に洗顔も行い、顔周りの花粉も洗い流しましょう。
症状が酷い人は、顔だけでなく鼻洗浄も行うと良いでしょう。花粉と一緒に鼻水も洗い流すことができるので、気分もスッキリとします。
また、目の中の花粉を洗浄するためのグッズも数多く販売されています。特に、目のかゆみや充血症状が強い人は、対策の一つとして取り入れるのもいいでしょう。
※ドライアイや目の疾患のある人が利用する場合は、注意が必要です。
花粉症は、体内の免疫機能のバランスが乱れることで起こります。
そのため免疫機能を整えることは、花粉症の症状軽減につながることがあるのです。
免疫力を高めるためには、以下のようなことに気をつけましょう。
魚や野菜を中心とした和食や、穀類を摂取しましょう。
また、緑黄色野菜に多く含まれるβカロテンには、体の免疫力を高める抗酸化作用があるとされていますので積極的に食べるように心がけてください。
ただし「花粉症に良い」という情報を鵜呑みにして、特定の食品だけを食べるようなことはしないでください。
バランスの良い食事が大切です。
眠るのが難しい場合でも、目を閉じて横になるだけで免疫力を高める効果があるとされています。そのため、仕事の合間や休憩時間などで10~20分程度の仮眠を取り、心身の疲労を回復させましょう。
程度な運動をすると、ウイルスなどから体を守る白血球(免疫細胞)の働きが活発になります。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を生活に取り入れて、免疫力を高めましょう。
ストレスにより自律神経が乱れると、リラックスや身体修復をコントロールする副交感神経の働きが低下することで、食欲不振や血行不良が起こります。
またストレスが溜まることによりコルチゾールなどのステロイドホルモンが放出されると、免疫機能のリンパ球の働きが低下し、免疫力低下が起こります。
喫煙により血管収縮作用が活発になると、体温低下や血圧上昇が起きて、免疫力が低下しやすくなります。
平均体温が1℃下がると、免疫力も37%低下するとされています。逆に、平均体温が1℃上がると免疫力が60%アップするともいわれているので、なるべく体を冷やさないようにしましょう。
体を温めるためには、お風呂につかることも有効的です。40~42℃の湯船に10分ほどつかることにより、体温が2℃ほど上昇するとされています。
鼻の中にティッシュを押し込んだり、鼻の穴の中をこするなどの行為を続けると、鼻の粘膜を保護している粘液層が破壊されて、炎症や出血が起こるリスクがあります。
一度粘膜の表層が破壊されてしまうと、鼻の中がかゆくなる・防衛力が下がる・風邪をひきやすくなる・細菌やウイルスによる感染症が起こるなどの症状が生じるため、注意が必要です。
鼻をかむときは、
に気をつけてください。
花粉症に効く市販薬には様々な種類があり、症状によって使い分ける必要があります。
一般的に広く使用される薬は、抗アレルギー薬の一種であるアレグラ®やクラリチンEX®などです。これらの薬は医療機関で処方されるものと同様の成分であり、眠気やだるさなどの副作用が生じにくいのが特徴です。飲む回数は薬によって異なりますが、一日1~2回の服用で飲み忘れしにくいのもメリットの一つです。
一方、抗アレルギー薬で効果が見られない場合は、アレルギーを引き起こす物質であるヒスタミンを抑える抗ヒスタミン薬が使用されます。鼻水やくしゃみ、鼻閉などの症状が強い花粉症に効果が高いとされていますが、眠気などの副作用を生じやすいのが欠点です。市販のものではアルガード®、プレコールカプセルアース®などがあり、服用回数は一日3~4回です。
また、内服薬だけでなく、目の症状や鼻の症状が強い場合には有効成分が含まれた点眼薬や点鼻薬を併用するとよいでしょう。
花粉症の重症化を防ぐためには、「外出時にマスクやメガネを装着する」「帰宅時は服についた花粉を払い落とす」「洗顔をして花粉を洗い流す」といったことをこまめに行うことが大切です。また、部屋干しにして衣類に花粉をつけないようにすることも役立ちます。面倒でも重症化を防ぐために日々の習慣に取り入れ、生活習慣も見直すことをおすすめします。