不安障害の原因はストレス?不安感が増したときの乗り越え方は?

2018/6/26

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

精神的に敏感になり、過度に不安や心配を感じてしまう「不安障害」という精神障害。
悪化するとうつ病、アルコールなどへの依存症の原因にもなり得る不安障害を発症する原因は、いったい何なのでしょうか。
今回は、不安障害の原因と対処法について、わかりやすくご紹介していきます。

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不安障害の原因はストレスなの?

不安障害は、本人が大きな精神的ショックを感じるような「心理的要因」や、長期的・慢性的なストレスが原因で発症することの多い精神障害だと言われています。

発症のきっかけとなる心理的要因の詳細や程度は個人によって大きく異なりますが、例えば、以下のような出来事をきっかけとする場合があります。

不安障害の発症原因となり得る心理的要因、ストレスの例

  • 仕事や家庭環境において、本人にとって受け入れがたい変化があった
  • 最近、結婚や離婚、引っ越しなどのために生活環境が大きく変わった
  • 幼い頃、または最近にとても親しい人と死別した
  • 社会的に不安定な状態にあり、日々慢性的なストレスを感じている  など

上記のような要因から感じたストレスをうまく処理できない、または未来への不安として無意識に増殖させてしまうことが、不安障害の一因であると考えられているのです。

脳のセロトニン不足で不安障害になることがあるの?

不安障害は、前述したような心理的要因によって強いストレスを慢性的・長期的に感じ続けることが原因で、脳内のセロトニンが不足して発症すると言われています。

本来、人間の脳はストレスを感じるような「嫌な出来事」に対し、この出来事そのものや受けた苦痛に関する記憶を和らげる、セロトニンという脳内物質を分泌します。
しかし「嫌な出来事」によってあまりに強いストレスを受けたり、必要以上の未来への不安から精神的な緊張状態が長く続いた場合には、セロトニンの消費が激しくなってしまうと考えられています。

消費が激しくなると脳内でのセロトニン分泌が追いつかなくなり、その結果として、精神的な安定を保つのに欠かせないセロトニンが不足する事態に陥ります。
その後、慢性的にセロトニン不足が続いた影響が不安障害という病気となって、さまざまな症状を引き起こしてしまうのです。

不安な気持ちに押しつぶされそうになったときは

慢性的に不安やストレスを感じ、精神的な緊張状態が続くと不安障害を発症し、心身の両方に以下のような深刻な症状を引き起こします。

不安障害による、代表的な症状

  • 落ち着きがなく、1つのことに集中していられない
  • いつもイライラして、精神的に焦燥感を感じている
  • 過去のことだけでなく、まだ起こってもいない未来への不安や心配を強く感じる
  • 緊張や不安から胸がどきどきして、息も苦しい
  • いつも落ち込んでいて、なかなか憂鬱な気分から抜け出せない
  • 筋肉が緊張し、慢性的に肩や首が凝って辛い
  • 凝りの他にもふるえやめまい、下痢、不眠などの身体症状がある

患者によって症状の差はありますが、一般的には上記の症状に複数当てはまり、かつ症状が6か月以上続いた場合に、医師から不安障害と診断されるケースが多いといわれています。

不安障害は日常生活からのストレスも影響するため一時的に良くなることもありますが、症状が安定しないまま、何年も苦しむ人も少なくありません。
人によっては、突然湧き上がってくる不安に対処できず、仕事や日常生活に支障をきたすケースもあるほどです。

以下に、不安障害を和らげるための対処法をご紹介しますので、不安に押しつぶされそうになったときに1つずつ実践して、不安障害を乗り越えましょう。

不安障害による症状の緩和に効果的な対策

  • 大きく深呼吸して、ゆっくりと息を吐きながらリラックスする
  • 不安を感じて怖くなったときの気持ちを紙に書き出し、整理してみる
  • 「この恐怖や不安はストレスによる誤作動だから問題ない」と考える
  • 不安で死ぬことはないので、一旦忘れて他のことに意識を向けてみる

おわりに:不安感や恐怖が増したときのために、自分なりの対処法をいくつか用意しておこう!

過去の経験から来る「不安」や未来への「恐れ」は人間が生きていくうえで必要な感情ですが、過度になると自分の精神状態を自ら圧迫する要因にもなりかねません。不要なストレスは受け流し、過度な心配や不安は乗り越えることが大切です。
不安を乗り越えるごとに耐性がついていきますから、この記事を参考に不安障害による症状への対処法を理解して、できるところから少しずつ実践して、病気を乗り越えてくださいね。

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