記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/7/3
記事監修医師
前田 裕斗 先生
大人は疲れが溜まるといびきをかくことがありますが、子供や赤ちゃんでも疲れるといびきをかくことがあるのでしょうか?今回は、子供のいびきの主な原因や、危険ないびきのサインについて解説します。
基本的に、子供や赤ちゃんがいびきをかくことはあまり多くありません。たくさん運動をして疲れていたり、少し風邪気味だったりするときであれば、いびきをかくことはあります。ただ、毎晩いびきをかいていたり、いびきの音が大きかったり、眠っている間苦しそうだったりするときは要注意です。
子供や赤ちゃんの激しいいびきの原因としては、主に以下のことが考えられます。
鼻からのどの奥に当たる上部にある「アデノイド」という器官が、通常よりも大きくなってしまう子供特有の病気です。発症の原因はよくわかっていません。
アデノイド肥大になると、鼻の空気の通り道が狭くなるために、鼻づまりやいびき、口呼吸が引き起こされます。重度の場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症する恐れがあります。
のどの両側にあるリンパ組織の「扁桃」という器官が肥大している状態です。子供の扁桃は成長発達の過程で体を感染症から守るため、肥大していることが多いです。しかし、7歳頃をピークに徐々に小さくなっていきます。
扁桃肥大では無症状の子供も少なくありませんが、扁桃が腫れて熱が出たり、いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)が起きるケースもあります。
花粉症などのアレルギー性鼻炎による鼻づまりで、口呼吸になるためにいびきが起きる場合があります。
子供や赤ちゃんのいびきの原因の中で特に注意が必要なのが、アデノイド肥大と扁桃肥大です。これらは睡眠時無呼吸症候群(SAS)を引き起こし、子供の成長や発達に悪影響を及ぼす恐れがあります。
子供のSASの症状には、主に以下のような特徴があります。
子供や赤ちゃんがSASになると、十分な睡眠が得られないことによって成長ホルモンの分泌が低下し、発育や学力の遅れにつながる可能性があります。また、無呼吸の回数が多いと、睡眠中に各臓器に酸素が行き渡らなくなることで、心臓に負担がかかったり、脳の発達に影響が出る恐れもあります。
子供や赤ちゃんは、いびきをかくことはそう多くありません。激しいいびきや慢性的ないびきの裏には、アデノイド肥大などの疾患が隠れている可能性があるので、該当する症状があれば一度専門外来へ連れていきましょう。