記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/7/4 記事改定日: 2020/9/1
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
乳がん検診の結果に再検査が必要と書かれていたら、とても不安になりますよね。この記事では、乳がん検診における「再検査」結果の意味合いと、実際の再検査の手順や内容などについて、まとめてご紹介していきます。
乳がん検診の結果が「再検査」判定であっても、すなわち「乳がんである」と決まったわけではありません。
乳がんの検査結果には、以下の通りカテゴリー3~5までの段階があります。
カテゴリー1 | 特に異常が見受けられない |
カテゴリー2 | 良性ののう疱、石灰化、線維腺腫などがある |
カテゴリー3 | 良性・悪性の判断がつかない石灰化、変異などが見られる |
カテゴリー4 | がんの疑いがある石灰化、細胞の変異などがある |
カテゴリー5 | がんの確率が高いと思われる石灰化、細胞の変異などがある |
上記のうち、検診結果として「再検査」と通知されるのはカテゴリー3以上の人です。
なお、カテゴリー3以上の変異のうち、再検査をして実際にがんであると判定される確率はそれぞれ以下の通りです。
カテゴリー3 | 5%程度 |
カテゴリー4 | 50%程度 |
カテゴリー5 | 95%程度 |
ステージ3で再検査を受けた人が実際に乳がんであった確率は、非常に低いことがわかります。乳がん検診の再検査は「がんである確率が低くても、その可能性を否定できないため」に、大事をとって行われることも非常に多いのです。
乳がん検診で見られる「石灰化」とは、乳腺にカルシウムが沈着してできた塊があることを指します。石灰化は乳がんでも見られますが、乳腺症など良性の病気によって見られることも多く、石灰化が発見されたからといって必ずしもがんであるわけではありません。
また、石灰化が起こっていても、良性のものであればがん化することはあまりないため、治療を必要としないケースも少なくありません。
しかし、病変の状態をさらに詳しく調べるためのエコー検査、良性か悪性かを組織的に評価する病理検査などの精密検査は必要となります。
では実際に乳がん検診の再検査を受ける場合、具体的にどんな検査を受けるのでしょうか。
一般的には以下のような流れに沿って、通常の乳がん検診よりも精度の高い精密検査を受けることになります。
はじめに、1回目の乳がん検診でも受けた超音波検査とマンモグラフィー検査をもう一度受けて画像診断を行い、1回目との違いを検証します。
この結果「乳がんの疑いなし」と判断されれば再検査は終了ですが、「乳がんの疑いあり」と判断された場合は、以下のより精密な検査に進むことになります。
超音波検査・マンモグラフィー検査の結果「乳がんの疑いあり」と判断された場合は、通常の乳がん検診では行われない、細胞診・組織診を行います。
細胞診・組織診まで行った再検査の結果は、それぞれ以下のように出てきます。
Ⅰ~Ⅴまでの5段階で、細胞の状態からがんかどうかを判定します。
良性・悪性・判定不能の3段階で細胞の状態を判定し、悪性の場合はがんのタイプなどまでわかるため、検査結果と一緒に治療計画に役立つ情報も入手できます。上記の通り、再検査を受けることで乳がんを早期に発見できる可能性は高いです。
乳がん再検査の組織診で「判定不能」と評価された場合は、採取した病変組織が少なすぎる・組織の保存状態が悪い、といった原因が考えられます。
良性とも悪性とも評価はできませんので再検査は必要になりますが、病変に針を刺して組織を吸引する方法では再び「判定不能」と判断される可能性もあります。そのため、もう一度検査を行うときは、乳房の一部を小さく切開して病変組織を直接採取する「マンモトーム生検」や「外科的生検」が行わることが多くなります。
乳がんは早期の発見・治療開始によって治る確率が高くなる病気です。再検査という響きからやみくもに不安になったり、怖がるのではなく、できるだけ早く再検査を受けに行く必要があると覚えておきましょう。
乳がん検診の結果が再検査でも乳がんとは限りません。仮に乳がんであったとしても、早期の段階で発見した場合は早期治療が可能になります。通常の検診よりも精密な再検査は、高確率で乳がんを発見することができます。再検査の通知が来たときは、将来のためにもできるだけ早く医療機関に行って検査を受けてください。