記事監修医師
新宿駅前クリニック 院長
蓮池 林太郎 先生
2018/7/9 記事改定日: 2019/5/21
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
この記事を監修した医師:2人
主に性行為によって感染する、クラミジアや淋病などの「性病(現在は「性感染症:STD、STI)とも呼ばれます)」。この性病は、まだ症状のない潜伏期間だとしてもうつることはあるのでしょうか?また、どれくらいの確率で感染するものなのでしょうか?性病の種類ごとに解説していきます。
性病に感染はしているけれど、まだ症状が出ていない期間を「潜伏期間」といいます。そしてこの潜伏期間でも、性行為などをすればパートナーにもうつることがあります。これは、主に性的な接触を通じて、感染者の体内に保有されていた菌やウイルスがパートナーの体内にも侵入するためです。
性病にはたくさんの種類があり、その種類によって潜伏期間や感染確率は異なります。性病の中でも代表的なものについて、以下でまとめました。
クラミジア・トラコマティスという病原菌が、性器や直腸、喉などに感染して炎症を引き起こす性病の一種です。潜伏期間は1〜3週間程度とされますが、男性も女性も半数以上は自覚症状がありません。
性器に感染した場合、男性だと軽い排尿痛や尿道のかゆみ、尿道からの分泌物など、女性だと外陰部の軽度のかゆみや軽い排尿痛、性交痛、おりものの量の増加などがみられます。オーラルセックスで喉に感染した場合は、喉の腫れや痛みなどの症状が出ることがあります。
コンドームを使用せずに性行為をした場合の感染率が高く、1回の性行為での感染率は数十%といわれています。
淋菌という病原菌が、性器や直腸、喉などに感染して炎症を引き起こす性病の一種です。
淋病の潜伏期間は2〜7日程度で、特に男性が発症すると、強い排尿痛や尿道のかゆみ、大量の黄白色の膿といった激しい症状に見舞われます。一方、女性の場合はおりものの増加や緑黄色のおりもの、外陰部の軽度のかゆみなどの症状がありますが、いずれも症状は軽く、ほとんどの女性は気づかない傾向にあります。オーラルセックスで喉に感染した場合は、喉の腫れや痛みなどの症状が出ることがあります。
梅毒トレポネーマという病原体の感染によって起こる性病の一種です。潜伏期間は3週間程度で、性器など感染箇所に小豆大のしこりができ、太ももの付け根のリンパ節が腫れるという症状が出ます。これらの症状は放置しても自然に消失しますが、そこから3ヶ月後、3年後、10年後と段階を経て、症状が出たり消えたりを繰り返しながら重篤化していきます。
口に梅毒の病変部位がある場合は、キスでも感染するので要注意です。
単純ヘルペスウイルスの1型か2型に感染したことで起こる性病です。2〜10日程度の潜伏期間を経て、主に性器に小さな水疱が大量に発生し、痛みやかゆみを伴うようになります。
ヘルペスの症状が出ている部位と接触すると感染しますが、症状が出ていなくても、性器の皮膚や粘膜にウイルスが出ているとパートナーに感染する可能性があります。
ヒトパピトーマウイルス(HPV)6型、11型の感染が原因で起こる性病です。感染しても9割の人は自己免疫によりウイルスを排除できますが、抵抗力が落ちている人の場合は症状を発症するようになります。
潜伏期間は3週間〜8ヶ月とかなりの幅があり、発症すると性器周辺に2mmほどのイボができます。このイボは徐々に増え、イボ同士くっつくことでカリフラワー状になることもあります。
トリコモナス原虫という微生物の感染によって起こる性病の一種です。潜伏期間は10日〜半年とかなりの幅がありますが、感染者の多くは無症状です。特に男性は軽度で済むことが多く、排尿によって自然治癒することも少なくありません。
一方、女性は症状が出ると、おりものから魚の腐敗臭のような臭いがしたり、おりものが泡状になったり、黄緑色に変色したりなどおりものの変化がみられるようになります。
カンジダ属の真菌の感染によって起こる病気です。性行為によってうつることもありますが、カンジダ属の真菌はもともと人が体内に持っていることの多い菌のため、体調を崩して免疫力が低下したことがきっかけで発症することもあります。
カンジダは男性よりも女性が発症することが多く、おりものがカッテージチーズ状に白いカスのようになったり、おりものが増えたり、外陰部のかゆみや腫れが生じたりします。
なお、カンジダの感染確率や潜伏期間についてですが、先述のようにカンジダは常在菌として保有しているケースもあり、性行為以外の原因で発症することもあるため、時期や感染確率については特定できません。
ご紹介したように、性病の種類によって潜伏期間にはかなりの差がありますが、いずれの性病も潜伏期間の段階で周囲にうつるリスクはあります。また、自覚症状の軽い性病も少なくないので、定期的に感染していないかチェックすることをおすすめします。