HIV感染で発疹が出るって本当?出やすい場所や時期はあるの?

2018/7/5

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

HIVに感染して体内でウイルスが増殖すると、急性HIV感染症としてさまざまな初期症状が現れるようになります。
今回は早期発見のためにも知っておきたいHIVの初期症状について、発疹が出る部位や時期を中心にご説明していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

HIVで発疹が出ることがあるの?

HIVの感染から潜伏期間を終えると、39℃以上の発熱・倦怠感・筋肉痛・関節痛などの症状が現れる場合があります。
上記のような症状はHIVの代表的な初期症状で、感染者の約9割が経験するとされていますが、これだけで普通の風邪・インフルエンザと区別するのは非常に難しいです。

このため、風邪とHIV感染の区別には他の初期症状の有無を加味するのですが、HIV感染者が風邪のような症状とあわせて特に発症しやすいのが、発疹の症状です。
発疹は風邪のような症状に次いで、感染者の約7割が経験する初期症状とされ、風邪症状と発疹を併発しているかどうかが、HIVと見分けるための1つの目安となります。

HIVの発疹が出やすい場所ってあるの?

HIVの初期症状として感染者の約7割が経験する発疹ですが、具体的にはどの場所にどのような発疹がでるのでしょうか。

HIV初期症状としての発疹は、HIV感染によって身体の免疫機能が落ち、通常なら症状が出ないような細菌・ウイルスに感染・発症することによって現れるものです。部位としては咽頭・口腔内、顔面、体幹、手足に多く現れるといわれ、それぞれ以下のような症状で現れてきます。

胸や背中を中心に現れる「急性期皮疹(きゅうせいきひしん)」

直径5~10mmの赤い発疹が体幹を中心に現れる発疹で、HIVの急性期に発熱や筋肉痛、下痢など他の初期症状とあわせて現れやすい症状です。
HIV感染者の7割以上に初期症状として見られる、代表的な発疹です。

顔と体幹の左右どちらかに現れやすい「帯状疱疹」

いわゆるヘルペスの一種で、体内に潜伏していた原因ウイルスがHIVによる免疫低下のために活性化し、発疹として現れたものです。
体幹や顔の左右どちらかのみに帯状の赤い発疹と水膨れが出るのが特徴で、初期はひりひりとした痛みを感じます。

口腔の内外や顔を中心に現れる「単純ヘルペス」

帯状疱疹と同じヘルペスの一種で、もともと体内にあった原因ウイルスが免疫低下によって活性化して発疹を表すものです。
口や性器など粘膜の近くを中心に、身体のあらゆる場所に小さい水膨れのような発疹ができ、痛痒い状態が続きます。人によっては、リンパ節の痛みを伴うこともあります。

顔、頭、背中など皮脂が多い部位に現れる「脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)」

HIV感染による免疫低下により、皮膚に常在するカビの一種マラセチア菌が皮脂をえさにして増殖し、赤い発疹を引き起こすものです。
顔や頭、背中など特に皮脂の分泌が多いところに集中してできやすいのが特徴で、かゆみを伴います。

HIVの発疹はいつごろ出てくるの?

上記でご紹介したHIV初期症状としての発疹は、いずれも発症から1~2週間で自然治癒していくのが一般的です。
これは、発疹が出てから1~2週間ほどで身体がHIVへの抗体を作り出すためで、抗体ができるのと同時に初期症状も治まっていくことによるものです。なお、発疹が1~2週間でおさまった後も、他の初期症状である発熱や筋肉痛、倦怠感、頭痛などは20日近くにわたって続く傾向が報告されています。

このため、HIV感染の機会に心当たりがあったり、風邪の症状と一緒に発疹が出て発疹だけが1~2週間で治ったという場合は、HIV感染が疑われます

HIVは早期に発見・治療開始することで、どのくらいウイルスを抑えられるかが大きく変わるといわれています。早期の発見と治療開始で健康的な生活を長く続けるためにも、疑わしい機会や症状が重なっているなら、一度専門機関でHIV検査を受けるようにしましょう。

おわりに:HIV感染による発疹は顔・手足・体幹を中心に出る!

HIVへの感染後、潜伏期間を終えると発熱・倦怠感・関節痛・筋肉痛など風邪のような症状とあわせて、約7割の人に発疹の症状が現れるとされています。発疹の種類や出方は人によっても異なりますが、顔・手足・体幹を中心に現れ、1~2週間でおさまるのが特徴です。

風邪のような症状と一緒に発疹が出る、またはHIV感染が疑われる機会に心当たりがある場合は、できるだけ早く専門機関でHIV検査を受けてくださいね。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

背中(11) HIV(22) エイズ(19) 発疹(39) 顔(14) 時期(12) 頭(8) 帯状疱疹(32) 胸(3) 脂漏性皮膚炎(10) 口(2) 場所(7) 単純ヘルペス(2) 急性期皮疹(1)