記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/5
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
風邪や感染症で体温が異常に高くなると、正常に身体を動かせなくなる私たち恒温動物にとって、体温調節は生きていくのに欠かせない機能の1つです。
今回は、風邪や感染症による発熱ではないのに体温に異常が出るうつ熱という症状について、その原因や対処法をあわせて紹介していきます。
うつ熱と発熱の違いは、以下のように表すことができます。
つまり、外的・内的要因によって身体が体温をうまくコントロールできなくなり蓄熱した状態を「うつ熱」、免疫反応として体温が上がることを「発熱」と呼びます。
前述したように、うつ熱は身体に熱が蓄えられ、こもることで起こる症状です。このため、特に何の病気にもかかっていなくても、そのとき置かれている環境などの外的要因で、突然うつ熱を発症することがあります。
例えば、体温が38℃以上にまで上昇しているのに、発熱の原因であるウイルス感染や風邪のような諸症状が見られないときには、うつ熱が疑われます。
うつ熱が起こり得る具体的なシチュエーションとしては、以下のようなケースが挙げられます。
うつ熱が疑われる人には、「身体の熱を逃がす」「身体を冷却する」「水分を摂らせる」という3つの対処法が効果的です。
以下からは、3つの段階で行うべき対処法をより具体的に紹介していきますので、参考にしてください。
まずはうつ熱の原因と考えられる要素を取り除き、身体の熱を逃がしていきます。外気温が高い、運動によって体温が異常に上がっているときは日陰や空調の効いた室内など、患者を涼しいところに移動させると良いでしょう。
また、着こみすぎや布団のかけすぎなどでうつ熱していると思われる場合は、着ているもの・かけているものを取り除いて、熱を逃がし体温を下げてください。軽度のうつ熱なら、この第一段階の対処だけで熱が下がり、体調が良くなってきます。
身体の熱を逃がしても熱が下がらないときは、外側から積極的に体温を下げていきます。
具体的には、冷たいタオルで身体を拭く、露出している皮膚に冷水をかける、扇風機やうちわで風を当てる、氷を太い血管のある首や脇の下などに当てると効果的です。
ここまでで紹介した2つに加え、本人の意識がはっきりしていて飲食できそうであれば、水やスポーツドリンク、経口補水液などを飲ませると良いでしょう。
また、熱中症対策として使用されるゼリータイプの経口補水液や、塩飴などをなめさせて水分と一緒に塩分を取らせるのもおすすめです。
免疫機能の一環として意識的に体温を上げている発熱と異なり、うつ熱は何らかの理由で体温調節がうまくできず、身体に熱をため込んでしまっている状態です。病気というよりは熱中症に近い状態なので、環境を変えて体温が下がるよう対処する必要があります。風邪や感染症の症状が見られないのに発熱がある場合は、この記事で紹介した方法を参考に、うつ熱が改善するよう対処してくださいね。