アレルギー性鼻炎で手術するメリットは?薬から解放される?

2018/7/21

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

アレルギー性鼻炎の治療法には、薬物療法以外に手術療法があります。では、手術するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?また、手術後はもう服薬は必要なくなるのでしょうか?

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アレルギー性鼻炎で手術すると得られる効果って?

花粉症やアレルギー性鼻炎の患者は、薬(飲み薬、さし薬など)を使用しても鼻詰まりや鼻水などの症状が改善されないことがあります。そのため薬の変更後も改善が見られない場合は、手術をするという選択肢もあります。特に手術は、鼻詰まりに対しての治療効果が高いとされています。

アレルギー性鼻炎は体質的な疾患です。薬や手術で体質ごと変化させることはできませんが、手術で鼻粘膜をアレルギー反応が起こりにくくなるようにしたり、アレルギーが発症しても鼻詰まりや鼻水、くしゃみなどの反応が起こりにくい粘膜に変化させることができると考えられています。

手術をしたら、もう薬を使わなくてもいいの?

手術後もしばらくの間は、鼻の状態が回復するまで服薬や点鼻薬を使用することが推奨されます。また、手術による効果は人により異なるため、症状があまり改善していない場合は、薬による治療も必要となります。

アレルギー性鼻炎の手術法は?

アレルギー性鼻炎の主な症状である鼻詰まりの原因は、下甲介粘膜局所で起こる反応によるものだとされており、くしゃみや鼻水の原因は、アレルギーを伝達する働きのある後鼻神経を通じて起こるものだとされています。そのため、アレルギー性鼻炎の症状を改善するためには、下甲介粘膜の反応を抑制する手術と、後鼻神経の反応を抑制する手術の両方を行うとよいといわれています。

ただし、以下の項目に該当する人は手術を受けられない可能性があるので、事前に担当医に伝えるようにしましょう。

手術を受けれない人
  • 心臓に重篤な疾患を持っている人
  • 出血しやすい人
手術を受ける際に注意が必要な人
  • ワーファリンやバイアスピリンなどの抗凝固剤や抗血小板剤を飲んでいる人は、手術中に止血が難しくなる場合があるため、一時的に服薬を中止する必要があります。
  • 鼻中隔(鼻の中央にある仕切り)が極端に曲がっているなどの理由で、鼻の中にレーザーを入れることが難しい場合は、レーザーの照射部分が少なくなるため、手術による効果が少なくなることがあります。

手術の種類

レーザー手術

粘膜を焼く手術を行う、炭酸ガスレーザーやアルゴン凝固術などでは、治療を受けた患者の約8割が通常の生活に戻れるようになり、5割強の患者は7年以上効果が持続するとされています。また、再発時にも再手術を受けることにより症状をコントロールすることができます。

後鼻神経切断手術、粘膜下下鼻甲介骨切除術

レーザー手術やアルゴンガス凝固術を受けられない人や、効果が得られなかった人には、鼻腔構造を改善する後鼻神経切断手術や、くしゃみや鼻汁に関係する神経を切断する粘膜下下鼻甲介骨切除術を行います。
これらの手術は、レーザー手術で効果が得られなかった人を含めた9割以上の患者に有効だとされており、3年ほど効果が持続するといわれています。

以上のように、アレルギー性鼻炎の手術療法にはさまざまな種類があるため、手術を受ける際には専門の医療機関を受診し、医師と相談しながら検討しましょう。

おわりに:アレルギー性鼻炎には手術療法が効果的

手術は鼻詰まりに対しての治療効果が高いとされているため、薬を使用しても鼻詰まりや鼻水などの症状が改善されないアレルギー性鼻炎患者には、手術を受けることが推奨されます。手術療法には、レーザー手術・後鼻神経切断手術、粘膜下下鼻甲介骨切除術などさまざまなタイプがあるため、専門の医師を相談をしながら手術方法を選択することが大切です。また、手術後もしばらくの間は、鼻の状態が回復するまで服薬や点鼻薬を使用することが必要になります。

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