関節リウマチに診断基準ってどんなもの?基準が必要な理由は?

2018/7/17

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

近年、関節リウマチは早期発見や治療などによって、改善が見込める病気となってきています。そこで今回は、早期発見に必要となる診断の基準などをご紹介します。基礎知識として覚えておきましょう。

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関節リウマチの診断基準って?

これまで関節リウマチは、米国リウマチ学会(ACR)から1987年に発表された分類基準が使われてきました。しかし関節リウマチでみられる関節の痛みや軽い貧血などという初期症状は他の病気でもみられるため、関節リウマチと診断するのが難しいということが課題でした。
また最近では多くの研究において、関節リウマチを発症してすぐの段階で効果が高いといわれる抗リウマチ薬で治療をすることで進行していく関節の破壊を抑制できるという報告もあります。

このような状況から関節リウマチは早期診断が重要視され、2010年に米国リウマチ学会と欧州リウマチ学会(EULAR)が共同で制作した「関節リウマチ分類基準(ACR/EULAR)」が発表されました。現在、この分類基準は日本でも診断の材料として使われるようになってきています。
ただし、この基準に合っていても関節リウマチでない例や、この基準には合わない関節リウマチの可能性があることも指摘されています。また血液検査に重点が置かれているため、視診や触診などによる直接の診断によって、関節リウマチを的確に診断することが求められているといわれています。

少なくとも1つ以上の関節で炎症がみられ、その原因が関節リウマチ以外の病気である可能性が考えられない場合に、以下のような基準の合計が6点以上である場合に関節リウマチと診断されることが知られています。ただし5点以下だった場合には、その後も観察を続けることが必要とされています。

押すと痛みがある、または腫れている関節数

  • 大きな関節で1ヶ所以下にみられる場合は「0点」、2~10ヶ所の場合は「1点」
  • 小さな関節で1~3ヶ所にみられる場合は「2点」、4~10ヶ所の場合は「3点」
  • 11ヶ所以上の関節でみられる(1ヶ所以上の小さな関節を含む)場合は「5点」

血液検査

  • リウマトイド因子、抗CCP抗体がいずれも陰性の場合は「0点」
  • いずれかに陽性反応がみられ、基準値の3倍以下(低値陽性)の場合は「2点」
  • いずれかに陽性反応がみられ、基準値の3倍以上(高値陽性)の場合は「3点」

急性炎症反応

  • CRP、赤沈がいずれも正常の場合は「0点」
  • CRPまたは赤沈が異常値の場合は「1点」

症状(滑膜炎)の持続期間

  • 6週未満の場合は「0点」
  • 6週以上の場合は「1点」

この分類基準は初診の患者さんを対象として使用するといわれています。また大きな関節とは、足や膝、肩、肘、股関節のことをいい、小さな関節とは手関節や手、また足の指のことをいいます。

なぜ診断基準が必要なの?

関節リウマチでみられる関節の痛みや軽い貧血などという初期症状は、他の病気でもみられるため、関節リウマチと診断するのが難しいといわれています。また関節リウマチによる関節の破壊は、発症後からすぐに進行することが最近の研究によってわかってきています。実際は関節の痛みや腫れがほとんど感じなかったり、ひどくない場合でも、身体の中では徐々に関節の破壊が進んでいる場合も考えられるのです。そのため、関節リウマチは早期に発見し治療をしていくことが推奨され、それに見合った基準がつくられたといわれています。

おわりに:関節リウマチは、早期発見で進行を抑えよう!

関節リウマチかどうかを確実に診断するためには、一定の診断技術をもった専門医の診療が必要です。早期に発見するためにも、症状が疑われる場合には速やかに病院を受診するようにしましょう。

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