記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/24 記事改定日: 2019/4/19
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
吐き気や嘔吐の原因としては、暴飲暴食や感染症などさまざまな原因が考えられますが、ストレスが原因で起こることもあるのでしょうか?ストレスによる吐き気・嘔吐の対処法と併せて解説します。
吐き気は、口から食道、胃腸へという流れが逆流してしまい、胃の中にあるものを吐き出したいという不快感から起こります。そして嘔吐とは、吐き気などによって胃の中の物が逆流して、外に吐き出してしまう状態です。
食べ物の消化や分解などで使われている体の中の筋肉は、自分の意志とかかわりなく無意識に動いています。これを自律神経系と呼び、そのなかでも嘔吐に関わるのが嘔吐中枢です。
嘔吐中枢はストレスによって刺激され、吐き気や嘔吐を引き起こしますが、とくにストレスでは胃酸過多になり胃腸が刺激されやすいという傾向があります。
胃酸の分泌が増えると、体が胃酸を異物として認識し、嘔吐中枢が刺激されて吐き気や嘔吐を引き起こしてしまうのです。
また、緊張や不安状態が続いてストレスを感じると、嘔吐中枢が刺激されて吐き気が起こることがあります。ストレス性胃腸炎はその一例です。
ストレス性胃腸炎はストレスだけが原因というよりも、不規則な食事や睡眠不足、刺激物の取りすぎやアルコールの摂取など、胃腸に負担がかかっているときに起こりやすいものです。胸やけ、胃やみぞおちなどの痛みを感じることもありますので、症状が長く続くようであれば医療機関を受診しましょう。
ストレス以外が原因である、二日酔いや食あたりなどの胃腸の不調には、薬を使った治療などの改善方法が存在しますが、ストレスによる吐き気や嘔吐の場合は、吐く内容物の有無にかかわらず起こるものなので、吐いてもスッキリすることはなく、原因となるストレスを改善しないと、症状が治まることはありません。
基本的にはリラックスすることが一番の解決策になってきますので、以下ではストレスによる嘔吐・吐き気の対処法をご紹介していきます。
ストレスを感じているときは呼吸が浅くなりがちです。ゆっくりと呼吸をして心と体を落ち着けましょう。
深呼吸をするときに目を閉じると、外側からの刺激が入りづらくなるので試してみてください。
吐き気が辛いときには、椅子に座ったり、横になったりして体を楽にしましょう。
横になる際は、胃の内容物が腸に流れやすくなるように、体の右側を下にして寝た方が楽になりやすいですし、衣服などをゆるめるのもおすすめです。
清涼感のあるミントは、胃の中の不快感や吐き気を抑える効果があるといわれています。試してみて症状が和らぐようであれば、ミント系のガムやタブレットを常備しておきましょう。
手や足などには様々なツボがありますが、消化器や自律神経と関係が深いツボがあります。
手首の内側にある内関(ないかん)と呼ばれるツボを試してみてください。
ストレスによる吐き気や嘔吐の原因は、自律神経の乱れが主な原因です。
過度なストレスは、交感神経を興奮させ、自律神経のバランスを乱します。その結果、胃や腸の消化運動が正常に行われなくなり、飲食物が胃内に長く停滞することで胸焼けや吐き気、嘔吐などを引き起こすのです。
このため、ストレスによる吐き気や嘔吐を抑える薬としては、自律神経のバランスを整える作用のある漢方薬や、消化運動を改善させる胃薬などがおススメです。
ただし、これらの市販薬を服用しても良くならないときや、再発を繰り返すときには思いもよらない胃や腸の病気が潜んでいる可能性もありますので、漫然と服用を続けずなるべく早めに病院で検査・治療を受けるようにしましょう。
仕事や家庭など日常生活の中にストレスの原因がある場合には、その原因をできるだけ改善していくようにしましょう。
また、ストレスの原因を完全に改善することができない場合でも、没頭できる趣味を持つなど適度なストレス解消法を身に付け、休息・睡眠時間をしっかり確保してストレスが溜まりにくい生活を心がけるようにしましょう。
現代社会において、ストレスを感じずに生きていくことはなかなか難しいものです。しかし、規則正しい生活や健康的な食生活を送ることで、ストレスや心理面による吐き気や嘔吐を抑えられる可能性があります。
自分なりのリラックス方法を見つけ、なるべくストレスを感じないように工夫していきましょう。