慢性腎臓病の検査は何科で受ければいいの?どんな検査を受ける?

2018/7/24

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

慢性腎臓病は、新たな国民病の一つともいわれています。メタボリックシンドロームとの関連性の深い疾患でもありますが、検査のためには何科を受診すればいいのでしょうか。具体的な検査内容と併せて解説します。

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慢性腎臓病の検査って、何科で受けられるの?

「慢性腎臓病(CKD)」は、2000年に米国腎臓財団(NFK:National Kidney Foundation)によって提唱された新しい病気のとらえ方で、ネフローゼ症候群なども含むさまざまな腎障害を、まとめて病気の進行程度により分類する概念です。

腎臓は沈黙の臓器といわれ、症状が進行しないと自覚症状はあらわれません。通常レベルの健康診断や人間ドッグであれば血清クレアチニン、尿蛋白などの項目があるので、少しでも異常値があれば病院に受診しましょう。

慢性腎臓病の疑いがある場合は腎臓内科の受診が勧められていますが、近くにそのような専門科がないようであれば、近所の泌尿器科、内科、小児であれば小児科で受診しましょう。検尿、必要に応じて採血を受け、検査結果によっては紹介状をもらい総合病院の腎臓内科に受診して下さい。

慢性腎臓病の検査方法は?

検査方法には、「尿検査」「血液検査」「画像診断」「腎生検」の4つがあり、早期発見のための検査では尿検査、進行度合いの確認には血液検査、詳しい診断には画像診断と腎生検が行われます。

尿検査では、腎臓に障害があると尿蛋白や尿潜血が陽性(+)になり、さらに「尿沈査」でより詳しく調べることになります。血液検査では、腎機能が低下すると老廃物の一種であるクレアチニンの値が高くなります。

画像検査では、超音波画像診断装置(腹部エコー検査)やCT検査により体内を映し出し、腎臓の形や大きさの異常、腫瘍や結石の有無などを調べます。腎生検では、うつ伏せの状態から腎臓に細い針を刺し、組織の一部を採取して顕微鏡で調べます。腎生検には入院が必要となり、検査後半日~1日は絶対安静となりますが、正確な診断が可能で有効な治療法の決定に役立ちます。

検査の結果、どのくらいの数値だと問題あるの?

血液検査で重要なのが「血清クレアチニン値」で、腎機能の低下とともに値は高くなります。正常値は、男性1.2mg/dl以下、女性1.0mg/dl以下で、多少の個人差はありますが8.0mg/dl以上となると透析が検討されることになります。

また、「血中尿素窒素(BUN)」も腎機能低下とともに値が高くなる数値の一つです。正常値は20mg/dl以下です。ただし、血中尿素窒素(BUN)は腎機能以外の影響も受けるものでもあります。

そのほか、糸球体でろ過される血液の量を調べる「クレアチニン・クリアランス(CCr)」は腎機能をもっとも正確に把握でき、特に初期の腎機能低下を鋭くとらえられるものです。1日の尿を溜めておきその中のクレアチニンを測定して血清クレアチニンの値をもとに計算します。腎機能が低下すると数値が低下しますが、年齢とともに低下する傾向もあり、正常値はおおよそ100~120ml/分です。ただし、慢性腎不全が進行すると値がやや高めに出る傾向があります。

おわりに:腎臓内科や泌尿器科の受診を!

慢性腎臓病は沈黙の臓器ともいわれますが、尿検査や血液検査、画像検査などを組み合わせれば早期発見も可能です。慢性腎臓病が疑われる場合、腎臓内科のような専門科がなければ内科、泌尿器科、小児であれば小児科を受診しましょう。

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