記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/25 記事改定日: 2019/12/25
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
日本では度々「過労死」の問題が取り上げられますが、そもそもどんな症状が出たら過労と診断されるのでしょうか?また、過労の可能性がある場合は、病院で何科を受診すればいいのでしょうか?労災認定の話も併せてお伝えしていきます。
過労とは、疲労が蓄積した状態のことです。
長時間労働によって肉体的な負担が大きかったり、睡眠不足の日々が続いていたり、精神的なストレスが続いていたりすると、過労に陥り、以下のような症状が現れるようになります。
これらは、脳梗塞やくも膜下出血などの脳血管障害の可能性が考えられる症状です。
過労によって脳内の血管が詰まったり、血管が脆くなり出血が起こると、このような症状が出ることがあります。
このような症状は、心筋梗塞などの心疾患の可能性が考えられる症状です。
心臓を動かす筋肉の異常や、血管の詰まりなどによる心疾患は、過労が原因で起こりやすいです。
過労によるうつ病の症状として、このような症状が出ている可能性があります。睡眠不足が続いた場合も、同様の症状が現れることがあります。
疲労は本人が気づかない間に蓄積します。知らないうちに過労に陥ることも多く、忙しい人ほど自身の症状に気づかず、症状が悪化してから発見されることも多々あります。
過労はひどくなると突然死を引き起こすため、悪化する前に発見することが大切です。次のような項目に多く当てはまる方は過労である可能性が高いので注意しましょう。
過労は全身に様々な症状を引き起こすため、それぞれの症状によって受診すべき診療科は異なります。
抑うつ気分や不眠など精神的な症状が多いときは心療内科や精神科の受診が必要でしょうし、上で述べたような脳血管障害や心疾患による症状があるときは脳神経外科や循環器内科を受診するようにしましょう。
とはいえ、過労は目立った症状が現れにくいことも多いため、何となく体がだるいなどといった症状が目立つときはかかりつけの内科などに相談してもよいでしょう。
お伝えしたような心身の症状が出ており、病気として医師から診断された場合は、労災認定が降りる可能性があります。ただ、ここで基準となってくるのが「過労死ライン」です。
過労死ラインとは、残業などが続いて労働者に健康被害が出た場合、その原因が残業によるものかどうかの因果関係を判断するために設けられている基準のことです。現時点では、月に80時間以上の時間外労働が過労死ラインと定められています。
脳血管障害や心疾患を発症するまでの2〜6ヶ月間に、平均80〜100時間の時間外労働をしている場合は、発症との関連性が高いと判断されるのが一般的です。
また、発症の1〜6ヶ月前に45時間以上の時間外労働をしていた場合も、過労死につながる関連性が高いとみなされることが多いです。
うつ病を発症する1ヶ月前に160時間、3週間前に120時間の時間外労働があった場合は、労災認定される可能性が高いです。また、発症までの1ヶ月以内の時間外労働が100時間程度であっても、パワハラや2週間以上の連続勤務など別の負担になる要素があれば、同じく認定される可能性が高くなります。
長時間労働が続いている方で、ご紹介したような症状が見られる場合には、症状に合った診療科をすぐに受診してください。職場環境によっては病院に行く時間を確保するのが難しいケースもありますが、過労の状態を放置していると、命に関わる恐れがあります。勤務時間によっては労災認定される場合もあるので、併せて病院で相談してみましょう。