記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/27 記事改定日: 2019/11/14
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
睡眠障害の一種で、寝ている間に無意識のうちに行動してしまう夢遊病ですが、いったい何が原因で起こるのでしょうか?
今回は夢遊病のなかでも特に大人の夢遊病について、考えられる原因や具体的な症状、治療の必要性などを解説していきます。
夢遊病とは、本来は深い睡眠状態にあるはずのノンレム睡眠中に脳の一部が覚醒し、脳が眠っているにもかかわらず身体が動いてしまう睡眠障害です。
夢遊病の患者が睡眠中にとってしまう行動の具体例としては、以下が挙げられます。
夢遊病は脳の一部が覚醒しているものの、基本的には脳・身体のどちらも眠っています。
このため、患者本人には夢遊病の症状が出ているときの記憶がまったくなく、同居人や知人から指摘されてはじめて、症状を自覚するケースが多いのが特徴です。
なぜ夢遊病が起こるのか、その発症メカニズムは未だに解明されていません。しかし、歩くことが可能になった年齢なら子供から大人まで幅広い年齢の人に発症の可能性があること、原因が睡眠中の脳の覚醒にあることはわかっています。
なお、子供の夢遊病のほとんどは脳の成長過程によるものと考えられており、4~8歳を発症のピークとして年齢を重ねるごとに自然治癒する傾向が強いとされています。
しかし、脳の成長がすでに終わっている大人の夢遊病には、注意が必要です。大人の夢遊病の場合、脳ではなく日ごろのストレスや過度なアルコール摂取が原因となって、夢遊病を発症している可能性が高いといわれています。
このため、大人に夢遊病の症状が現れた場合はできるだけこまめにストレスを発散したり、飲酒を控えて適度なアルコール摂取を心がける必要があります。
前述したように子供の夢遊病は成長とともに自然治癒する可能性が高く、症状として現れる行動パターンも限られているため、積極的に治療する必要はありません。
一方で大人の場合は、時間経過とともに治癒する可能性が低いこと、また症状に料理や車の運転など複雑な行動が伴うことから、子供よりも危険度が高くなります。
意識がないまま外出すると最悪の場合は命を落とすリスクもあるため、大人の夢遊病は病気として捉え、積極的に治療を受けることが推奨されています。
もし、起床後の違和感や周囲の指摘から夢遊病の可能性を感じているなら、できるだけ早く睡眠障害クリニックや睡眠外来などを受診して、治療を開始してくださいね。
夢遊病は上で述べたように大人でも発症することがあります。
夢遊病の基本的な治療は、症状が出ている間に転倒などによるケガをしないよう環境を整えること、良質な睡眠がとれるよう生活習慣を整えることが基本となります。
しかし、大人になっても夢遊病の症状が落ち着かず、日常生活などに支障を来すようなケースでは、睡眠薬や抗不安薬、抗てんかん薬などによる薬物療法が必要になることも少なくありません。
ただし、薬物療法はずっと続けるのではなく、症状が治まったら徐々に減らしていきます。薬に頼らず、生活習慣改善などによって症状を抑えていくことが最終的な治療の目標です。
脳の発達段階で起こるとされる子供の夢遊病と異なり、ストレスやアルコールの過剰摂取が原因と考えられる大人の夢遊病は、積極的に治療する必要があります。
車の運転や料理など複雑な行動が行える大人の夢遊病患者は、その分命に関わることを起こすリスクも高まります。できるだけ早く睡眠障害を扱う医療機関を訪れて、専門医による検査・治療を受けてください。