記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
性行為からしばらくして、「排尿時に痛みがある」「尿道から膿が出る」といった異変がある場合、考えられる原因の一つが淋病の感染です。以降では、この淋病で特徴的な自覚症状についてご紹介していきます。
淋病(淋菌感染症)とは、性器や喉、直腸などに「淋菌」という病原菌が感染したことで起こる、性病(性感染症)の一種です。淋菌は感染者の精液や腟分泌液、感染箇所の粘膜に存在し、オーラルセックスやアナルセックスを含む性行為を通じて、相手の粘膜に接触することで感染します。
この淋病の自覚症状は、男性と女性によって以下のように異なります。
淋菌に感染してから2~7日間の潜伏期間の後、以下の自覚症状が現れます。
男性が淋病を発症すると、上記のような自覚症状が出ることがほとんどですが、まれに症状が現れない人もいます。
しかし、淋病を放置していると尿道の奥まで感染が進み、淋菌が前立腺や精巣に入り込むことで前立腺炎や精巣上体炎を引き起こすようになります。この精巣上体炎は、男性不妊症の原因となる恐れのある疾患です。
実は上記のような自覚症状が現れるケースは少なく、女性の淋菌感染者のおよそ8割は自覚症状が出ないといわれています。そのため、感染をそのまま放置しがちです。
しかし淋菌が体の奥まで侵入すると、卵管炎や卵巣炎、骨盤腹膜炎にまで発展し、不妊症の原因となることがあります。
アナルセックスによって直腸に淋菌が感染した場合は、以下の症状が現れることがあります。
男性の淋病や、咽頭で淋菌に感染した場合(後述)は、軽い発熱が起きることもあります。
また、淋菌を含んだ体液が付着した手で目をこすった場合、淋菌性結膜炎を起こしてクリーム状の濃い目やにが出たり、まぶたが腫れたりすることがあります。
ペニスなどの性器で淋菌に感染している人にオーラルセックスをした場合は、咽頭の粘膜で淋菌感染を起こす場合があります。この咽頭感染の場合は症状が出ないことが多いですが、下記のような自覚症状が出ることもあります。
この咽頭感染を放置していると、咽頭炎や扁桃腺炎などに発展する恐れがあります。
淋病の自覚症状が出た場合、受診すべきなのは専門の診療科である性病科です。ただ、近くに性病科がない場合は、男性であれば泌尿器科を受診しましょう。泌尿器科は男性の性器周辺の病気の診察・検査・治療を専門としているので、淋病の疑いがあればそのまま検査や治療に移行することができます。ただ、女性の場合は泌尿器科ではなく婦人科を受診してください。
淋菌に感染し、淋病を発症した場合、特に男性では排尿時の痛みや尿道からの粘性の膿など、明らかな異変が認められるようになります。悪化すると不妊症の原因になる恐れがあるので、こうした異変に気づいたらなるべく早く性病科や泌尿器科を受診し、検査を受けるようにしてください。
一方、女性の場合は感染しても自覚症状がないことがほとんどなので、定期的な性病検査で早期発見に努めましょう。