記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
毛じらみ(毛じらみ症)は、主に陰毛に寄生するシラミの一種ですが、寄生されるとどんな症状が出るのでしょうか?また、頭にすみつくこともあるのでしょうか?以降でチェックしていきましょう。
毛じらみ(毛じらみ症)とは、ケジラミという吸血性の昆虫が寄生したことで発症する病気です。主に性行為を通じて、感染者と陰毛同士が接触することで感染します。
この毛じらみの主症状としては、以下のものが挙げられます。
毛じらみの主症状のひとつは、感染箇所で起こる激しいかゆみです。ケジラミは陰毛だけでなく、肛門周辺や胸毛、腋毛、大腿部などにも寄生することがあり、この寄生部分でかゆみを生じます。基本的に湿疹は伴いません。
ただ、そこまでかゆみを感じないという方もいます。そもそも毛じらみのかゆみは、ケジラミが吸血したときに注入する唾液成分への免疫反応が原因で起こるものと考えられていますが、この反応の程度には個人差があるため、かゆみの感じ方にも差が出ると考えられています。
もうひとつの特徴的な症状が、下着に付着する茶色い粉末です。この粉末はケジラミの糞便で、吸血した人間の血液は消化管を通り茶色い便となって排出されます。
長期間にわたってケジラミが寄生を続けていた場合は、ケジラミの刺咬により皮膚の深いところ(真皮深層)にヘモジデリン(血鉄素)が沈着し、青灰色の斑点が発生することがあります。
ケジラミの主な感染経路は性行為中の陰毛同士の接触であり、寄生箇所の大半は陰毛です。ケジラミは宿主から離脱後、長くて48時間までしか生存できず、さらに1日10cm程度しか歩行できません。そのため、基本的には性行為による陰毛感染が主になります。
しかし肛門周辺や胸毛、腋毛、大腿部などにも寄生することもあり、まれにまつ毛やヒゲ、頭髪に寄生するケースもあります。この場合も同様に、激しいかゆみを引き起こします。
ケジラミの主な感染経路は性行為ですが、感染している保護者が子供と密なスキンシップをした場合は、子供に感染して毛じらみの症状が出ることもあります。
ただ、子供の場合は、アタマジラミに感染した可能性もあります。アタマジラミは毛と毛が接触したときにうつる、ケジラミと同じシラミ目の一種です。保育園児や小学校低学年児童など、頭をくっつけて遊ぶことが多い子供の間での感染率が高いという特徴があり、しばしば保育園内などで集団発生を起こします。
アタマジラミは、主に側頭部から後頭部、耳の後ろをよく引っかく2~4mm程度の虫で、この周辺に0.5mm程度の灰白色で楕円形の卵を産みます。ただ、フケやヘアーキャストといった髪の毛につく汚れと見分けるのは難しいため、皮膚科医に診断してもらいましょう。
以前は「ケジラミは頭に寄生しない」といわれていましたが、これは間違いで、頭皮にもケジラミが寄生することはあります。激しいかゆみや茶色い粉末など、当てはまる症状があれば皮膚科を受診しましょう。
この記事の続きはこちら