脳梗塞の初期症状を見逃さないようにしよう

2017/3/29

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

さっきまで何も変わりはなかったのに、突然顔の表情が変わったり、意味不明なことを言い出したり。あるいは片腕だけ力が入らなくなったり、まっすぐ立っていられなくなったり。その症状、ただの疲れではなくもしかすると脳卒中のサインかもしれません。

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脳梗塞の兆候

多くの場合、脳梗塞の兆候や症状は突然現れます。出現する症状は脳のどの部位に損傷が起きているか、どの程度損傷しているかによって変わるため多様です。

脳梗塞の多様な症状のうち、比較的よく出現する症状は、ファスト(FAST:Face-Arms-Speech-Time)という言葉で覚えることができます。

顔(Face)

顔の片側が動かなくなります。たとえばどちらか一方の口角が上がらなくなったり、笑顔ができなくなったり、片方のまぶたが下がっていることがあったりします。

腕(Arms)

脳梗塞の疑いがある人はどちらか一方の腕の力が入らなかったりしびれたりします。また、両腕を同様に上げ続けることができなくなったりします。

言葉(Speech)

会話がスムーズに出来なかったり、しどろもどろになったりします。あるいは言葉が出てこなかったり、意味不明な言葉を発話したりすることもあります。

時間(Time)

上記3つのうちどれか1つでも症状がみられたら、速やかに救急車を呼んでください。

高齢の方や、糖尿病や高血圧といった脳梗塞のリスク要因を持つ人は特に注意が必要です。このようなリスクを持つ人と同居していたり介護したりしている人も、特に注意して観察するようにしたほうがよいでしょう。

その他の兆候や症状

脳梗塞の代表的な症状は先にご紹介した「ファスト」ですが、そのほかにも脳梗塞による症状として、以下のようなものがあります。このような症状はほかに原因があるために起こることが多いのですが、いずれにせよ医師の診察を受けたほうがよいでしょう。

・体の片側が完全にマヒする
・突然失明したり、視界がぼやけたりする
・めまい
・精神錯乱
・周囲の人の言葉を理解するのが急に難しくなったと感じる
・バランスが取れなくなっている(たとえば、まっすぐ立っていられなくなる)
・食べ物を飲み込みづらいと感じる(嚥下困難)
・突然、今までに経験したことがないくらいの激しい頭痛に見舞われる。
・意識がなくなる

一過性脳虚血発作(TIA)とは

TIAの症状は先にご説明した脳梗塞とほぼ同じですが、脳梗塞と異なり症状が数分から数時間しか続かないものをいいます。症状はすぐに改善するとはいえ脳の血流になんらかの支障が出始めているサインなので、症状が消えたからと安心してはいけません。上記の脳梗塞を疑う症状が短期間でも出たことがある場合は、できるだけ早く医師の診察を受けてください。

おわりに:脳梗塞の初期症状が現れたら

自分や身のまわりの人に脳梗塞の初期症状が現れたらすぐに救急車を呼んでください。もし救急車を待つ間に症状が消えてもTIAの可能性を否定できないので、そのまま病院に行って検査を受けてください。

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