記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
湿疹は、かゆみや痛みを伴ってわずらわしいものです。ここでは、子供に湿疹ができたときのかゆみに対して保護者がしてあげられる方法を紹介します。
湿疹は非常に身近なお肌トラブルです。対処の基本を改めて整理しておきましょう。
赤ちゃんや子供に湿疹がみられたら、早めに適切な治療を受けるためにも皮膚科(または小児皮膚科)を受診してください。
湿疹にはいろいろな原因があり、原因によって治療方法も異なります。通常は保湿剤(皮膚軟化剤)やステロイドクリーム、軟膏を組み合わせた治療が行われますが、皮膚が赤くなっていたりじゅくじゅくしているときは、感染症の可能性があり、その場合は特別な治療が必要になることがあります。
自己判断せず、医師の指示にしたがいましょう。
湿疹のある子供は、睡眠不足になることがよくあります。夜は、肌が熱くなってかゆみが強くなることがあるためです。
寝室を涼しくし、綿のシーツや軽い天然繊維の布団を使用しましょう。保湿クリームを浸透させるために少なくとも寝る20分前に塗るようにしましょう。
犬や猫などのペットが湿疹を悪化させることがあるので、寝室にはペットを入れないようにしてください。
香料入り石鹸と泡風呂は、湿疹を悪化させることがあります。熱いお湯ではなくぬるま湯で石鹸、シャンプー、入浴剤は無臭のものを使うほうがいいでしょう。どのような製品がよいかは医師または薬剤師に相談しましょう。
乾燥した皮膚は、細菌やウイルスに感染しやすくなります。湿疹の影響を受けた皮膚ができるだけ柔らかくて潤いのある状態に保たれるように医師の指示に従い、保湿クリームを使用してください。石鹸は弱酸性のものを使うようにしましょう。もし汗をかいていない時期なら、無理に石鹸を使う必要はありません。
子供は湿疹のかゆみを我慢できずに、ついついかいてしまいがちです。皮膚をかきむしると、出血したり感染症を起こす可能性があります。まめに皮膚をかいているかどうかを確認し、かきそうになったら腕を強く握るなど、代わりに何か別のことをするように教えましょう。かかなかったらほめてあげ、子供の爪はいつも短くしておいておきましょう。
湿疹は、生後6カ月頃に始まります。湿疹のある約10%の子供には、牛乳、卵、柑橘類の果物、チョコレート、ピーナッツ、着色料を含む食品が原因となっていることがわかっています。ある食品が子供の湿疹を起こしていると思われるときは、バランスのよい食事が取れるように医師に相談することが重要です。
皮膚のかゆみは熱によって増すので、走り回ったり、運動したりした後は、ゆったりした衣服を着せ、できるだけ涼しくいられるようにしてください。プールで泳いだあとは、十分に塩素を洗い流してください。塩素は皮膚を刺激します。
湿疹があるときは、肌着などの衣類には注意を払いましょう。ポリエステルやナイロンやのような化学繊維、ウールなどの素材は肌に刺激になって、湿疹によるかゆみを悪化させることがあります。できるだけ、綿素材の柔らかく、通気性の良いものを選ぶようにしましょう。また、冬場には防寒対策としてヒートテックの肌着を着用することも多いと思いますが、ヒートテックは通気性が悪く、蒸れて湿疹部位の皮膚がびらんを生じる原因となることがありますので注意が必要です。
また、首や腕など露出部にも湿疹がある場合には、シーツなどの寝具も肌に良いものを選ぶことが必要です。
湿疹が出た場合には、基本的には病院を受診して医師から処方されたものを使うことをおすすめしますが、一時的な処置として、湿疹のかゆみ止めのために市販の薬を使うことも多いと思います。
乾燥がひどい場合には、ワセリンやローションのような保湿効果に優れた薬を選ぶとよいでしょう。また、メンソレータム®やオロナイン®軟膏のような薬効成分が含まれているものもおすすめです。最近では、子供向けタイプのものも多く販売されていますので、それらを症状に合わせて選ぶとよいです。
しかし、子供の湿疹は細菌感染やウイルス感染によるものもあるため、市販薬を使用しても改善しない場合にはなるべく早めに病院を受診して適切な治療を受けるようにして下さい。
乳幼児や子供の肌はとてもデリケートです。少しの刺激でも湿疹がでることがあります。子供の湿疹は痛みやかゆみを伴うものもあり、みている親は気が気ではありません。湿疹ができたらお医者さんにみせるのはもちろんですが、かきむしってしまうことのないように、少しでも痛みやかゆみを和らげる環境を整えてあげたいですね。