ダイエット中に食べていい炭水化物や糖質の量ってどれくらい?

2018/11/9 記事改定日: 2019/6/24
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ダイエットでは食事制限が成功のセオリーといわれていますが、炭水化物と糖質には違いがあるのをご存知でしたか?着実にダイエットを進めるためにも、このふたつの栄養素の違いをきちんと理解しておくことをおすすめします。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

炭水化物と糖質って何が違うの?

炭水化物と糖質は同じ栄養素のように思われがちですが、体への作用や含まれる成分に違いがあります。

炭水化物

食べものに含まれる栄養素のうち、体をつくるもととなる必須の「炭水化物、脂質、たんぱく質」は三大栄養素と呼ばれています。炭水化物は炭素、水素、酸素からなり、糖質、食物繊維に分類できます。主食であるごはんやパン、いも類に多く含まれ、体や脳が活動するためのエネルギーになります。

糖質

糖質は炭水化物の一部です。糖質は栄養素のなかでもただちにエネルギーとして消費される性質を持ちます。また体内で分解された糖質は、肝臓や筋肉で貯蔵されます。余った糖質は中性脂肪に変化し、脂肪細胞に蓄えられます。

糖質は大きく分けて、多糖類、少糖類、二糖類、単糖類に分類されます。

多糖類
セルロース、グリコーゲン、デキストリン
少糖類
オリゴ糖
二糖類
ショ糖、乳糖、麦芽糖
単糖類
ブドウ糖、果糖

炭水化物には食物繊維が含まれますが、糖質には含まれません。食物繊維とは人間の消化酵素では消化しきれない成分で、栄養素の吸収や老廃物の排泄、腸内環境の正常化を助けると考えられています。また血糖値やコレステロールの上昇を抑え、肥満予防の効果も期待されます。食物繊維はダイエットをサポートする働きを持つのです。

ダイエットしたいなら、糖質はどのくらい摂って大丈夫?

近年、ダイエットのキーワードとして注目が集まっているのが糖質制限です。糖質の摂り過ぎはエネルギー過剰を招き、肥満の原因となります。それでは理想の糖質摂取量はどの程度なのでしょうか。

一日で少なくとも必要とする糖質の量=100g(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」2015年版)

ただし、一日に消費するエネルギー量から換算すると、30~40代の成人女性では1日に250~300gの糖質が必要とされています。ダイエット中でも、130gほどの糖質は摂るようにしましょう。

食品に含まれる糖質の例

白米茶碗1杯(150g)
約55g
食パン1枚(60g)
約26.5g
ショートケーキ1個(110g)
約51g
さつまいも(70g)
約18.5g
バナナ1本(220g)
約28g

ダイエットのときにおすすめの食材は?

ダイエット中でも、極端に炭水化物を抜いてしまうと血糖値の異常が生じたり、痩せにくい体になってリバウンドが起こりやすくなるなど、さまざまな弊害が生じます。このため、ダイエット中でも栄養バランスが整った食事を心がけ、しっかり炭水化物も摂るようにしましょう。

ダイエット中におすすめの炭水化物を含む食材として、以下のようなものが挙げられます。

  • イモ類
  • 春雨
  • 豆類
  • ドライフルーツ
  • かまぼこ、ちくわ

これらの食材は炭水化物をしっかり含みながらも低カロリーのため、ダイエットにおすすめの食材です。ぜひ積極的に取り入れてみましょう。

糖質を摂るときは、どんなことに気をつければいい?

食後は血糖値が上昇し、インスリンというホルモンが分泌されます。エネルギーとして利用されずに余った糖質は、インスリンによって脂肪に変えられてしまいます。つまり食後の血糖値上昇をゆるやかにし、摂取した糖質の変化をコントロールすることが大切になります。

そのためには、食事の順番が肝心です。食物繊維をまず始めに口にすると、血糖値の急激な上昇を防ぎます。食物繊維は主に野菜に多く含まれているので、サラダなどから食べ始めるのがおすすめです。

また、糖質を制限しすぎると脳に必要な栄養が不足し、以下のような体調不良を引き起こすことがあります。

糖質不足の症状
無気力、倦怠感、疲労、眠気、集中力の低下、肝機能の低下
ケトアシドーシス
本来はアルカリ性に保たれている体液のPHバランスが乱れ、血液が酸性に傾きます。吐き気、嘔吐、疲労感がみられます。症状が重いと昏睡状態に陥る場合があります。

おわりに:糖質は制限しすぎても良くない。食べる順番に気をつけよう

糖質は生命維持には必要な栄養素です。食べ過ぎはよくありませんが、必要最低限の量は摂るようにしましょう。ダイエットしているときは、糖質の前に食物繊維を食べるようにするなど、食べる順番を工夫すれば血糖値の急激な上昇を抑えられます。極端な食事制限は体に毒です。バランスのよい食事で、健康的にダイエットを成功させましょう。

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