記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/20 記事改定日: 2020/2/21
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
手指の関節がこぶのようにふくらんでしまい、ずっと治らないなら、それは「ガングリオン」というできものかもしれません。
こぶができるだけで、特に痛みが出ないことも多いですが、治らないと気になるものです。今回はガングリオンの症状や治療法、外科手術の必要性などについて解説していきます。
何らかの原因で、関節を包む関節包(かんせつほう)の内容物が染み出して袋自体が大きくなり、関節周辺にできたこぶのようなできものを「ガングリオン」といいます。
ガングリオンはゼリー状の物質が皮下に溜まったものです。米粒大のものからピンポン玉大のもの、柔らかいものから硬いものまで大きさや感触には個人差があります。指先から手首にかけての手指の関節にできやすいですが、足や背中にもできることがあります。
ガングリオンのように、体にできた出来物・塊のことを「腫瘤(しゅりゅう)」と呼びますが、ガングリオンは基本的に治療の必要のない腫瘤です。周囲に痛みなどの症状が出ていなければ、放置しておいても問題ありません。
ただし、どんどん大きくなって周囲の神経や組織が圧迫され、痛み・しびれ・動かしにくいなどの症状が出ている場合は治療が必要になります。
特に痛みやしびれなどの症状がなくても、大きなガングリオンは見た目的に気になるものです。こぶを小さくするための処置には、手術以外に以下の方法があります。
ガングリオンを指で圧迫して、中に溜まった物質を身体に押し戻す治療法です。
かつては主流であった治療法で一定の効果が見込めますが、長続きはしないため、医療が進歩した近年ではほとんど行われていません。
ガングリオンに注射針を刺して、中に溜まったゼリー状物質を吸引して取り出し、少しずつ小さくしていく治療法です。
体への負担とリスクが少ないため、手術以外のガングリオン治療法として積極的に行われていますが、治療後の再発率は30~50%と高いです。
前項で述べた注射による穿刺吸引療法を行っても、ガングリオンの再発を繰り返す場合は、手術によるガングリオンの切除が必要になるケースもあります。
手法としては、外来で局所麻酔をしてガングリオンのすぐ上を切開して、傷つけないようにガングリオン本体とその予備軍を取り除いてくものです。
このとき、少しでもガングリオンの被膜・膿疱や周囲の神経・組織を誤って傷つけてしまうと、術後に感染症や痛みの増大が起こる原因となります。
手術でガングリオンを摘出しても、再発することは少なくありません。再発率は10%前後との報告もあります。
再発の原因は、ガングリオンの元となる組織を完全に摘出し切れていないことなどが挙げられます。そのため、ガングリオンは周辺の組織にも範囲を広げて摘出する必要ことが必要です。
手術を受けるときは、どの範囲を切除するのか、再発のリスクはどの程度かなどについて事前に医師にしっかり確認するようにしましょう。
手指や足の関節、背中にできたガングリオンは、関節包から染み出たゼリー状物質が溜まってできた塊です。基本的には無害なもので、痛みやしびれがなければ治療せず放っておいても問題はありません。
注射器で内容物を吸い出す穿刺吸引療法をしても再発を繰り返すようなら外科手術による切除が必要になります。ただ、手術しても再発の可能性はありますので、整形外科に相談し、納得したうえで治療方法を決定しましょう。
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