尿路結石の特徴と予防対策 ― 腰痛、背部痛、尿の異常には要注意

2023/10/18

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

尿管結石では「七転八倒の苦しみ」といわれるほど激しい痛みが起こることがありますが、はっきりした症状がでないこともあります。この記事では、尿路結石の症状や原因、予防対策について解説していきます。尿路結石は、比較的起こりやすい病気ですので、早期発見・予防に役立ててください。

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尿路結石の症状の特徴とは?

尿路結石とは、尿路(腎臓・尿管・膀胱・尿道)に結石ができ、以下の症状が現れる病気です。泌尿器疾患の中では比較的よく見られる病気で、統計的には男性の7人に1人、女性の15人に1人が、生涯に一度は尿路結石を発症するといわれています。

疝痛や血尿などの症状が現れる

尿路結石の代表的な症状は、疝痛(激しい痛み)と血尿です結石が尿管に詰まることで圧力が高くなり、周辺の神経を刺激してしまうことで痛みが発生します。血尿は、結石が尿管の壁を傷つけたときに発生します。結石が尿管に詰まったままになってしまうと、水腎症や腎不全などを起こす場合もあるため注意が必要です。膀胱や尿道に結石がある場合は頻尿や残尿感などの症状が現れ、腎盂腎炎を併発した場合は発熱することもあります。なお、結石は、無自覚のまま排石されることもあります。

症状がない場合もある

尿路結石のうち、腎結石や膀胱結石では自覚症状がないことが多いです。そのため、健康診断のエコー検査やレントゲン検査などで、偶然結石が見つかるケースもあります。なお、自覚症状がある場合は、頻尿や残尿感といった膀胱炎に似た症状が見られます。

結石ができる原因は?

尿路結石のおもな原因は食生活といわれていますが、食生活以外が原因になることもあります。

食生活(シュウ酸の摂り過ぎなど)

結石の構成成分を調べると、シュウ酸やリン酸などが多いことが分かります。これらは通常であれば、便や尿と一緒に身体の外に排出されます。しかし、シュウ酸などを過剰に摂取すると、カルシウムと結合して身体の中に残ってしまい、次第に結石となってしまうのです。

シュウ酸はさまざまな食品に含まれていますが、とくに多く含む食品がほうれん草、ブロッコリー、レタスなどの野菜類、コーヒー、紅茶、ココアなどの飲料です。また、肉類や魚類、乳製品などのたんぱく質にもシュウ酸が多く含まれるので、注意する必要があります。

食生活以外の原因

尿路結石の発症には、食生活以外にも、年齢、仕事、体質、病気の有無、内服状況なども関係しています。このうち病気に関しては、排尿障害、尿路感染症、膠原病、副甲状腺機能亢進症、通風などが関係しています。これらの病気を発症している人は、尿路結石にとくに気をつけるようにしましょう。

尿路結石の発症・再発予防に役立つ生活習慣

尿路結石の発症・再発を予防するためには、生活習慣の見直しが大切です。ここでは、食生活と運動習慣に関する対策を紹介していきます。

食生活

食生活では、結石の原因で説明したとおりで「シュウ酸の摂り過ぎ」に注意する必要があります。具体的には、動物性たんぱく質、塩分、脂肪を少なくするほか、シュウ酸を多く含む野菜類も控えるようにしましょう。また、ほうれん草などの野菜類を茹でると、シュウ酸が溶け出すので、摂取量を抑えることに役立ちます。そのほか、コーヒーや紅茶の飲み過ぎは控えましょう。

また、尿路結石を予防するためには、カルシウムの摂取も重要になっています。かつては、カルシウムは尿路結石の原因になると考えられていましたが、現在はカルシウムを摂取する方が良いとされています。そのほか、「1日2L以上を目安に水分を補給する」「クエン酸を摂取する」ことなども、尿路結石の予防に役立つといわれています。

運動習慣

尿路結石の予防には「適度な運動を習慣的に行う」ことも大切です。具体的には、ウォーキング、縄跳び、ジョギングなど、身体を上下に動かす運動が良いといわれています。1日30分以上できるように時間を確保し、毎日継続して行いましょう。運動する時間を確保できない場合は、移動するときや空き時間に階段を登り降りするなどもおすすめです。

おわりに:生活習慣を見直して尿路結石を予防しましょう!

尿路結石は比較的よく見られる泌尿器疾患であり、発症すると激しい痛みに襲われる場合もあります。尿路結石の発症・再発は、食生活や運動習慣などの生活習慣を見直すことが役立ちます。なお、仙痛や血尿などのはっきりした症状が現れない場合もありますので、頻尿や残尿感などの尿のトラブルがある場合は、早めに泌尿器科などを受診するようにしてください。

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