記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
冬はただでさえ空気が乾燥していますが、暖房が効いた室内はさらに乾燥しています。室内に入ると、喉の痛みや肌のカサつきが強くなる人も多いのではないでしょうか。今回はエアコンの暖房による乾燥の理由とおすすめの乾燥対策について解説します。
空気中に含有できる水分量は、空気の温度によって変わります。このように、気温によって変わる空気中の水分量・湿度を「飽和水蒸気量」といい、気温の変化によって変わる湿度のことを「相対湿度」と呼びます。飽和水蒸気量は、気温が高くなるほど少なくなる特性を持っています。つまり、室内の空気が温かくなればなるほど、湿度は下がって乾燥してしまうのです。
エアコンは、外から取り込んだ空気を直接温めてから室内に吐き出し、室内の気温を上げていく暖房器具です。飽和水蒸気量と相対湿度が下がった状態の空気が室内に送り込まれるため、エアコンによる暖房は部屋の空気を乾燥させやすくなります。
以下の対策を取ることで、エアコンの暖房で起こる空気の乾燥を予防できる場合があります。
室内の湿度が40%〜60%になるように設定して、低めの温度設定のエアコンの暖房と併用するのが、室内を快適な温度・湿度に保つためにおすすめの方法です。加湿器を使うときは、部屋の広さに対応したものを用意しましょう。
肌や髪の乾燥を自覚しやすくなる一因として、エアコンの出す風が関係しています。これは、エアコンによって温められた風が直接体に当たると、体の周囲の空気が入れ替わって肌や髪の水分が奪われ、乾燥による不快感を感じやすくなるからです。風が出ないタイプの暖房器具を使ったり、弱風モードを使用すると、乾燥はある程度軽減されます。
日々の洗濯物を部屋干しにするだけでも、室内を加湿できます。濡らしたタオルを数枚ハンガーにかけたり、カーテンに水を含ませておいたりするだけでも加湿が可能です。
植物の葉は、呼吸するときに葉に含まれる水分も蒸散させます。また、水をやった後の土や植え込み材からも、ある程度の水蒸気が発せられています。
温めた空気を送りだすことで部屋の温度を上げるエアコンの暖房は、室内の飽和水蒸気量を下げ、乾燥も加速させます。このようなエアコンの暖房による乾燥には加湿器の使用がおすすめですが、洗濯物、濡れタオル、カーテン、観葉植物などを使って加湿することもできます。加湿器がない場合、すぐに購入できない場合は、できる方法で対策を取りながら乾燥を緩和しましょう。