記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/1/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ノロウイルスをはじめ、冬になると増えてくるウイルスや細菌が原因の胃腸炎。家族が1人発症すると、そのまま家族全員に感染が広がってしまうケースも多いですが、全員がダウンするのを避ける方法はないのでしょうか。
今回は胃腸炎の家族内感染について、起こり得る期間と予防策をご紹介していきます。
感染性の胃腸炎を起こす病原体にはさまざまあり、具体例としては以下が挙げられます。
上記の病原体のうち、特にノロウイルスは冬季に集団感染を起こしやすい胃腸炎の原因菌として、近年では広く周知されるようになりました。
ノロウイルスは、牡蠣なのど二枚貝を感染源として1~2日の潜伏期間を経て発症し、下痢や嘔吐、腹痛、発熱などの激しい症状を2~3日間にわたり引き起こします。感染ルートとしては、最初の感染者が吐き出した嘔吐物や便などに触れたことによる接触感染、またはこれらが乾燥して飛散することによる空気感染の2つがあります。
このため家族や職場など、所属するコミュニティのうち1人でも感染者が出ると、周囲で看病をする家族・友人・同僚、近隣にまで感染が拡大することも少なくありません。ノロウイルスが集団感染を起こしやすく厄介だと言われるのは、このためなのです。
また、発症から2~3日で症状が治まるノロウイルスですが、感染後2週間は、感染者の便から、新たな感染源となるウイルスを排出し続けています。ノロウイルスの約2週間という保有期間は、サルモネラ菌やO-157の約7日間に比べてもかなり長く、この点も感染予防するうえでは非常に厄介であるといえます。
家族に感染者が出たときに、家庭内での感染性胃腸炎の感染拡大を予防するには、家の中での衛生管理を徹底するのが有効です。以下に、家庭内での感染性胃腸炎の予防に有効な対策を具体的にご紹介しますので、しっかり確認のうえ、実践しましょう。
排出された便や嘔吐物に接触する可能性が最も高いのは、トイレや洗面所だと思います。もし、家にトイレが2つ以上ある場合は、トイレを感染者とそれ以外の家族で分けましょう。また、洗面所や石けんも分けるのが望ましいです。難しい場合は、手を洗う石けんだけ分けるか、トイレに感染者専用の石けんを用意し、指や爪の間までしっかり洗ってから出てきてもらうようにしましょう。
嘔吐物が落ちた場所や、便が付着したトイレに触れたり、またこれらがついた衣類をほかのものと一緒に洗濯すると、ウイルスが広がって家族内感染の原因となります。感染者が使用したトイレはその都度、部屋のなかで吐いてしまった場所、またウイルスが付着した衣服について、速やかな消毒が必要です。
以下、用途別にノロウイルスなど感染性胃腸炎の感染予防に効果的な消毒液の作り方を紹介します。
上記の消毒液はいずれも、汚物や汚染箇所に吹きかけて使えるよう、霧吹きに入れておくことをおすすめします。
なお、汚れた衣類は手袋とマスクをつけたうえでバケツなどで水洗いして汚れを落とし、用法・用量に従って薄めた洗濯用漂白剤に30分以上、または85度のお湯に1分以上漬けて消毒してから洗濯機に入れましょう。
感染者の便や嘔吐物を処理するときは、必ずマスクと手袋を着用して感染源との接触・空気感染を徹底的に避けてください。
また、汚物を処理するときもそのままふき取るのではなく、まずは飛び散らないようにキッチンペーパーをかけ、前述の消毒液をたっぷり吹きかけてからペーパーごと捨てましょう。
このとき、ペーパーと一緒に処理に使用した手袋やマスクも同じビニール袋にそっと入れて、密閉して捨てます。マスクや手袋の使いまわしは厳禁です。
なお、汚物を処理した箇所には、薄めの消毒液でふき取ることも忘れないでください。
感染性胃腸炎が周囲にうつる期間は病原体によっても異なりますが、ノロウイルスの場合では、感染から約2週間はウイルスを排出し続け、感染拡大を起こすといわれています。このため、1人から他の家族への感染拡大を予防するには、徹底的に糞便・吐しゃ物への接触を避け、トイレや家のなかを消毒する必要があります。この記事を参考に、感染性胃腸炎について正しい知識と予防策を身に着けておきましょう。
この記事の続きはこちら