記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/4/24
記事監修医師
前田 裕斗 先生
生まれてからずっと母乳やミルクを飲んで育ってきた赤ちゃんは、いつ母乳やミルクを卒業するのでしょうか? 離乳食をはじめても、いつまで母乳やミルクをあげればいいのでしょう? ここでは、離乳食と卒乳についてお話しします。
赤ちゃんが成長するにしたがって、母乳やミルクだけでは必要な栄養を確保できなくなります。しかし、赤ちゃんの身体の機能はまだ未発達・・・急に大人と同じ食べ物は受け付けません。離乳食は、次のような段階ですすめられます。
なめらかにすりつぶした食べ物を1日1さじから始めます。
母乳やミルクは飲みたいだけ飲ませます。
舌でつぶせる固さのものを1日2回、いろいろな味や舌ざわりを楽しめるように種類を増やしていきます。母乳やミルクは欲しがれば与えてください。
歯茎でつぶせる固さのものを1日3回、家族といっしょに食べる楽しみを教えましょう。手を使い始めるのもこのころです。「手づかみ食べ」をさせてみましょう。
歯茎で噛める固さのものを1日3回与えましょう。手づかみ食べからだんだんとスプーンが使えるようになってきます。
(参考:厚生労働省 www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17c.pdf)
卒乳の時期は個人差はありますが、離乳食が進むと母乳やミルクを飲む量が減ってくるので1歳前後がベストなタイミングかもしれません。
自分で食べるということは、味覚、視覚、嗅覚だけでなく「食感」を通して食べ物を探求するようになるので、赤ちゃんの発達には大きなステップです。まずは一口サイズのものではじめてみましょう。手づかみ食べは、赤ちゃんが自分で食べる練習です。なので栄養は、ほんの少し補える程度でいいでしょう。手づかみ食べにルールはありません。赤ちゃんがつかみやすいものをもたせてみてください。赤ちゃんは、口にいれようとしては落とし、拾い上げることで自分で食べることを学んでいきます。
まずは、親指と人差し指でつかむことができるものから、はじめましょう。小さなものでも手でわたすことで指のスキルを習得していくでしょう。
スティックチーズや蒸し野菜などがぴったりです。また、ご飯は小さなおにぎりにしたり、パンやパスタは食べやすいようにカットしてあげましょう。
この時期の赤ちゃんはまだ歯が生えていません。口の中で溶けないものや歯茎で噛むことができないものはやわらかく調理してあげましょう。
レーズン、ポップコーン、ナッツなどは、誤嚥の可能性があります。生の野菜や肉は、やわらかく調理して小さくカットしてあげましょう。
指で食べることをマスターしたら、今度はスプーンをもたせてみましょう。ただし、これも練習です。
赤ちゃんが離乳食への第一歩を踏み出す準備ができているかどうかは、以下のような徴候があります。いつ離乳食を始めるかわからないときは、医師に相談してからはじめてみましょう。
母乳やミルクで薄めた離乳食をスプーンで口元に置いてみましょう。赤ちゃんの小さな舌が食べ物をすぐに出し、何度か試してもやはり吐き出すようであれば、赤ちゃんはまだ離乳食を受け付ける準備ができていません。
お母さんの食べる姿を熱心に見たり、食べ物を口に運ぶ手をつかむようなら、母乳やミルクではないものを食べたいサインかもしれません。
授乳中の赤ちゃんは、生後6カ月をすぎると授乳だけでは成長に必要な栄養素が足りなくなります。離乳食を始めて最初の数カ月はほとんど何も食べなくても驚く必要はありません。離乳食に慣れてくると、離乳食が気に入ってだんだんと母乳やミルクから離れていきます。卒乳は、赤ちゃんから子どもへの変換期…あせらず、ゆっくりと、愉しみながら「卒乳式」を迎えてくださいね。