記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/4/24
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠すると女性の体には、いろいろな変化が出てきます。その症状のひとつが便秘です。
妊娠中は、特に、便秘になりやすい時期です。
しかし、「女性には珍しいことじゃないから」と放置しておくと、痔になってしまうことも少なくありません。
今回は、そんな妊娠中の便秘にお悩みの方のために、妊娠中に便秘になりやすい原因と妊娠中の便秘解消法をご紹介します。
元々、男性に比べ女性は便秘になりやすい傾向がありますが、妊娠してはじめて、便秘になる女性がいます。
妊娠により、体内では、さまざまな変化が起こりますが、妊婦さんが便秘になりやすい原因はいくつか考えられます。
妊娠中は女性ホルモンの一つプロゲステロンの分泌が多くなります。プロゲステロンは子宮の収縮を抑えるために機能しますが、妊娠中は、腸の動きも低下させ、便を出すためのぜん動運動まで抑制し、便秘になりやすくなります。
胎児が大きくなるにつれ、子宮も大きくなり腸を圧迫します。腸が圧迫されると、腸管が狭くなり、便が詰まりやすくなります。
妊娠中は、身体的・精神的に過度なストレスがかります。ストレスが大きくなると体内機能を調整している自律神経が乱れ、腸の動きにも悪影響を及ぼし、便秘になりやすくなります。
妊娠中は、つわりで食べ物や飲み物が受けつけづらくなり、食生活に偏りが出ます。その結果、食物繊維や水分が不足して便が硬くなり、便秘になりやすくなります。
妊娠中の便秘解消に役立つ6つの対策を紹介します。基本的には妊娠していない時の対策とそう大きくは変わりません。
便秘の解消には十分な水分が欠かせません。積極的な摂取を心がけ、起床したら、必ず、コップ一杯、水を飲んでください。
起きてすぐに水を飲むと、水分不足が解消できるだけでなく、腸が刺激されて動きが活発になり、排便が促されます。
食物繊維は、腸内で水分を取り込み数十倍に膨らみ、腸壁を刺激して腸の動きを活発にし、排便を促してくれる成分です。
ご飯を食物繊維が豊富な玄米に変えてみたり、食物繊維が豊富なシリアルを食べてみてください。
乳酸菌は腸内環境を整えてくれます。ヨーグルトをはじめ、納豆、キムチなどの発酵食品に多く含まれているので、食べやすいものを選んでください。
適度な運動は、便秘の解消に役に立ちます。激しい運動をする必要はなく、ウォーキングで汗ばむくらいが丁度いい運動になります。運動は継続することが大切。週に1~2回、体を動かしてください。
睡眠を十分にとり、栄養バランスの良い食事をきちんと食べるようにすることで、ホルモンバランスが安定し、ストレスが減り、便秘解消にも効果が出てきます。
お腹が大きくなってくるとどうしても姿勢が悪くなります。そのままにしておくと骨盤が歪み、消化器官の働きが悪くなります。立つ、座る、歩く際に体をまっすぐ伸ばし、いい姿勢を心がけてください。
妊娠中に使用可能な薬もあります。市販薬を使う場合、さまざまな便秘薬がありますが、妊娠中に避けたほうがいいものもあります。検診で通っている病院から使用しても大丈夫な薬を処方してもらうのが無難でしょう。
いままで便秘はなかったのに、妊娠して便秘の症状が出たら、最初のうちはその変化に戸惑ってしまうかもしれません。便秘のストレスはけっこう大きいものです。
しかし、やはり、母体にとってストレスを抱えることはNG。「妊娠中の変化はある程度仕方ない」と考え、悪化させないことを重視し、できることから改善していきましょう。
すぐに効果が出なくても、リラックスして、解消法を続けていけば、少しずつよくなっていきます。妊娠中の便秘対策は、根気強く続けてください。