記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/3/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
感染すると発熱や嘔吐などがみられる溶連菌感染症。子供によくみられる病気ですが、大人でも感染・発症することはあります。この記事では、溶連菌感染症を発症した場合の治療法とともに、治療中の注意点について解説します。
溶連菌感染症とは、溶血連鎖球菌(溶連菌)という細菌がのどに感染することによって、さまざまな症状があらわれる感染症のことです。夏季以外で流行する感染症で、発病年齢は5才を中心に、4~9才に多い傾向にありますが、大人でも感染します。また、家族、集団生活内での流行が多いという特徴があり、2~3日間の潜伏期間を経て発症します。
主な症状は突然の発熱と全身倦怠感、咽頭痛で、嘔吐を伴うこともあります。きちんと治療を行わないと、リウマチ熱や急性腎炎、紫斑病などの原因になることもあるため注意が必要です。
溶連菌感染症が疑われる場合、まず検査を受けて溶連菌に感染しているかどうか調べ、その上で治療を行うことが必要です。
検査はのどを綿棒でこすり、迅速診断キットを使って行い、結果は15分ほどで出てきます。医師によってはのどに特徴的な発赤が見られることから、検査をせずに確定診断を付けることもあるようです。
治療はペニシリン系の抗生物質が第一選択となり、内服後1~2日で改善がみられます。
溶連菌感染症にかかった方のうち、10~20%が1年以内に再発するとされています。溶連菌感染症は飛沫感染のため、家族や集団の中で感染者がいると容易に感染して再発してしまうためと考えられます。そのため、家族が1人でも溶連菌感染症にかかった場合には十分注意することが必要です。
また、溶連菌感染症にかかった方で、1カ月以内に再発した方のうち90%は非除菌による再燃と考えられています。これは、処方された抗生剤を10日間しっかりと内服しなかったことが原因のことが多いです。症状が改善したからといって、途中で薬の服用をやめてしまうと完全に溶連菌が除菌できず、その結果再発してしまうのです。
溶連菌感染症の再発を予防するためには、処方された薬をすべて飲み切ることが欠かせません。また、処方された薬を飲み切っても症状が改善されない場合は薬が効いていないことも考えられるため、医療機関を再度受診することが大切です。
さらに、溶連菌感染症にかかっている方との濃厚接触を控え、手洗い、うがいをしっかりと行い、菌をふたたび体内に取り込まないようにすることも再発予防につながります。
溶連菌感染症は抗生物質を服用すれば症状が快方へと向かいます。しかし、薬の服用を途中でやめてしまうと病気を再発させてしまう恐れがあります。処方された抗生物質は全部飲み切って、体内から菌を全部追い出しましょう。また、家族の中に溶連菌感染症の人が出た場合には、手洗い・うがいも忘れないように行ってください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。