溶連菌には潜伏期間がある?感染してすぐ症状が出るわけじゃないの?
2020/1/31
溶連菌感染症は子供がかかりやすく、強いのどの痛みが特徴の感染症です。適切な治療を受ければ重症になることはあまり多くありませんが、治療が遅れるとまれに深刻な合併症を引き起こすことがあるので注意が必要です。
この記事では、溶連菌感染症の症状について詳しく解説していきますので、病院に行く目安にしてください。
溶連菌に感染すると、どんな症状が出てくる?
細菌には溶血性(赤血球の細胞膜を破壊して溶かしてしまう)のものがあります。溶連菌(溶血性連鎖球菌)も溶血性の最近で、α溶血とβ溶血の2種類があります。特に、人体に有害とされているのがβ溶血のA群、B群、C群、G群などです。
溶連菌感染症は、90%以上がA群によるもので、一般的にA群β溶血性連鎖球菌による感染症を「溶血性連鎖球菌感染症(溶連菌感染症)」と呼んでいます。溶連菌感染症の代表的な症状として、38~39℃の発熱と強いのどの痛みがあります。また、頭痛、腹痛、おう吐、首すじのリンパ節の腫れなども起こり、症状は一般の風邪と似ていますが、咳や鼻水は出ません。
特徴的なのは、体や手足に小さい赤い発疹が出たり、舌にイチゴのようなツブツブができる(イチゴ舌)ことがあることです。急性期を過ぎると、指先の皮ふがベロベロとむけてくるなど、発疹のあとの皮むけがみられます。ただし、症状の出方は人により違い、溶連菌の有無の判別は検査をしないと難しい場合もあります。
溶連菌に感染したあと、すぐ症状が出てくるの?
溶連菌感染症は、おもに11月~4月に流行します。咳やくしゃみなどで飛び散った菌を吸い込むなどにより感染する「飛沫感染」が多いですが、皮ふが触れあったりタオルや食器などを介して感染する「接触感染」も起こります。
溶連菌の感染部位は、上気道とよばれる部位の呼吸器感染で、鼻粘膜、咽頭粘膜、扁桃腺が一般的です。約2~5日の潜伏期間があり、風邪に似た症状からはじまり、特にのどの痛みが強いのが特徴です。
一般的に2~10歳の子どもに感染しやすい病気で、保育園、幼稚園、学校などの集団の中で流行することもありますが、大人でも感染します。受診して検査し、抗生物質をきちんと服用することで、24時間以内に感染力はほとんどなくなります。ただし、一度感染して治っても再発することもあります。
気になる症状がみられたら、病院で検査を受けよう
風邪か溶連菌感染症なのか疑わしい場合は、医療機関で受診し、検査をしてもらいましょう。溶連菌感染症の検査は、検査の材料をのどの奥から綿棒でぬぐい取るだけで簡単に行うことができ、結果も5~10分ほどですぐにわかります。
感染が確認されたら抗生物質が処方され、10日間ほど服用することになります。抗生物質の服用で、1~2日で熱が下がり、のどの痛みなども1週間以内で治まってきます。その後の皮むけも3週間程度で治まります。ただし、よくなったからといって途中で服用をやめてしまうと、再発したり合併症を引き起こしやすくなるので、処方された薬は最後まで飲みきることが大切です。
なお、溶連菌感染症が治った後3~4週間後に尿の色が褐色になることがあります。その場合、合併症である急性糸球体性腎炎の可能性があるので必ず病院に行ってください。
おわりに:2~5日ほどの潜伏期間後、風邪に似た症状から始まり特にのどの痛みが強くでます
溶連菌感染症は、おもに11月~4月に飛沫感染によって流行します。2~5日の潜伏期間があり、その後、風邪に似た症状から始まって特にのどに強い痛みがあり、手足や舌に発疹が出ます。疑いがあれば早目に医療機関で受診し検査を受けて、抗生物質を処方してもらいましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。