記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/5/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
体の中でもっとも太い血管である大動脈が、なんらかの原因でたてに裂けてしまうことで引き起こされる大動脈解離。発症すると痛みやショック症状といったものがみられることがわかっています。この記事では、大動脈解離を発症する仕組みや、発症した場合の検査・治療法を紹介します。
大動脈は、胸からお腹にかけてはしる人間の体の中でもっとも太い血管です。心臓から全身に送り出された血液が最初に通る血管で、その後、分岐して全身に血液が巡ります。
大動脈解離は、なんらかの原因で大動脈がたてに裂けてしまう症状です。血管は外膜、中膜、内膜と三層の膜からできていますが、大動脈解離になると内膜と中膜の間に血液が流れ出し、中膜が裂けていきます。血管が外膜だけの状態になると、血液の流れをうけてコブ上のふくらみ(瘤)ができやすくなります(この状態を「解離性大動脈瘤」といいます)。大動脈瘤は血管壁が三層に保たれた状態でも起こるものがあり、解離性と区別して真性大動脈瘤と呼ばれます。
大動脈解離の原因はまだ明らかになっていませんが、高血圧や動脈硬化が関わっているともいわれます。発症すると、突然、胸や背中に激しい痛みがおこった後、その痛みが下方に下がっていくのが特徴です。また、意識がなくなり、ショック状態となって生命に危険な状態となることも少なくありません。
大動脈解離の特徴的な症状は激しい痛みですが、さらに進行すると次のような症状があらわれます。
解離が進行すれば血管が薄くなると、血液が押し出される力に耐えきれなくなります。血液が一個所にたまってコブ(大動脈瘤)ができ、さらに破裂して大出血を起こせば、急に血圧が下がってショック状態となることがあります。大動脈解離が起こった部位によっては、ほかの臓器に血液が流れなくなる可能性もあります。また、脳梗塞や心筋梗塞などが生じれば、命にかかわります。
また、大動脈が裂けて心臓との繋ぎ目の部分まで裂けると、心臓の弁が壊れて血液が逆流してしまうことがあります。一度送り出した血液が逆流すると心臓に大きな負担がかかるため、心臓が正しく働けなくなります。その結果、全身への血流が悪くなるほか、血圧が低下してショック状態に陥って死に至ることもあります。
大動脈解離は命にかかわる病気のため、早い段階で発見と治療が必要です。突然、胸や背中に激しい痛みが起こり、大動脈解離が疑われたときは、痛みの原因を探るために次のような検査が行われます。
以上のような検査を行い、大動脈解離と診断された場合には緊急手術を行うこともあります。
大動脈解離は診断をされた場合には、すぐに何かしらの治療が行われます。大動脈解離の治療は、解離の起きた部位や程度によって異なります。緊急手術が必要な場合もあれば、経過観察をして手術の必要性を探ることもあります。
大動脈は、人間の体の中でもっとも太い血管です。大動脈解離は、何らかの原因で大動脈が裂け、ときには大出血を起こす可能性のある病気です。胸や背中の激しい痛みが特徴的で、状態によっては意識がなくなり、ショック状態になることもあります。治療は、解離が起きた場所や、破れた程度によっても異なり、合併症のリスクも異なります。命に関わることもあるため、診断されたときには、緊急手術が必要なこともあります。