記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/3/4
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
処方せんを持って薬局に行くと、必ず薬剤師さんからすすめられるジェネリック医薬品。使ったことがある人もない人もいると思いますが、利用することのメリット・デメリットをきちんと理解している人は少ないかもしれません。今回は、ジェネリック医薬品を選ぶメリット・デメリットについて解説していきます。
まずはじめに、簡単にジェネリック医薬品と、ジェネリック医薬品とは区別される先発医薬品との違いについて解説します。
ジェネリック医薬品とは、先発医薬品に対して後発医薬品とも呼ばれる医薬品の分類のひとつで、先発医薬品の特許・独占販売期間終了後に製造された薬のことです。長い期間と莫大な費用をかけて作られた先発医薬品の製法をもとに、有効成分はそのままに、開発から承認・販売までが短期間で行えるのがジェネリック医薬品の特徴です。
「開発期間が短い」と聞くと、安全性や効能に疑問を持つ人もいるかもしれません。しかし、ジェネリック医薬品も先発医薬品と同じく法律に基づく基準で製造され、販売前には先発医薬品と同等の品質検査をクリアし、さらにもととなった先発医薬品との同等性を確認する試験も実施されています。ジェネリック医薬品の効能と安全性は、先発医薬品とほぼ同じと確認されているのです。
以下からは、ジェネリック医薬品を選ぶ2つのメリットについて、詳しく解説します。
独占販売期間中にわかった問題点や改善すべき点を考慮し、ジェネリック医薬品の開発時には、薬に以下のような工夫をほどこす場合があります。
約20年にも及ぶ独占販売期間中にも、製薬技術は確実に進歩しています。先発医薬品の有効成分はそのままに、患者にとってより飲みやすい薬になっている可能性がある点は、ジェネリック医薬品の大きなメリットといえるでしょう。
開発にかかる時間や費用が短い分、ジェネリック医薬品は先発医薬品よりも、安い値段で購入することができます。有効成分と安全性は先発医薬品と変わらないのに、安い価格で手に入れられるジェネリック医薬品は、患者にとっても魅力的といえます。
ジェネリック医薬品を選ぶことのデメリットとしては、大きく以下2つが挙げられます。
先発医薬品の特許内容にはいくつか種類があり、薬に含有される新しい物質への物質特許、特定物質の効能への用途特許の2つが、主成分の特許となっています。先発医薬品と有効成分を同じにするジェネリック医薬品は、この主成分に関する2つの特許が切れていれば製造できるというわけです。
ただ、薬には主成分以外にも他にも以下のような細かな特許制度があり、それぞれの特許の有効期間はバラバラです。
このため主成分の特許しか切れていないと、先発医薬品とまったく同じ使用感や効果・効能の現れ方をするジェネリック医薬品の製造が難しくなります。
有効成分は同じでも、添加物や形状を先発医薬品にないものに変えることで、ジェネリック医薬品で予期せぬアレルギー反応や、効き目・副作用の違いが現れるリスクがあります。
先発医薬品がジェネリック医薬品に比べ高価なのは、製薬会社が開発にかかった費用を回収したうえで、他の新しい薬の開発費用を確保するためです。
そして世界には、未だ有効な治療薬がなく、新薬の開発が待たれている病気がたくさんあります。このため、ジェネリック医薬品ばかり製造・販売していると、製薬会社に新薬を開発する資金が残らず、新薬開発を困難にしてしまう可能性も考えられます。
ジェネリック医薬品は、特許と独占販売期間が切れた先発医薬品と同じ有効成分を使って作られた薬です。先発医薬品をもとに飲みやすい工夫をして作られていること、比較的安価なことが大きなメリットです。しかし一方で、ジェネリック医薬品には有効成分以外の成分が違うために、アレルギー反応や副作用が起こるリスクが高くなったり、製薬会社が先発医薬品開発の資金を確保しにくくなるなどのデメリットもあります。メリット・デメリットを踏まえて利用しましょう。