記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/4/5
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
薬を服用したいけど手元にお水がないとき、手近にある水以外の飲み物で飲んだことがある方は意外と多いかもしれません。でも、飲み物によっては薬の効果を弱めてしまう可能性があることをご存知でしょうか。この記事では、抗生物質を服用するときの注意点をまとめました。
「抗生物質」は、微生物によって作られた、他の微生物や細胞の発育、機能を阻止する抗菌性の有機物質で、抗生剤とも呼ばれています。細菌にはいろいろな種類があり、治療に必要な薬や飲み方は人や症状によって異なります。
抗生物質の処方は、患者の年齢や体格、腎臓や肝臓の機能などを考慮して調整されるので、副作用を抑えつつ、病気を確実に治すためには、指示された飲み方や服用期間を守ることが大切です。症状がなくなったからと自己判断で飲むのをやめてしまうと、再発したり抗生物質がきかない細菌(薬剤耐性菌)を生んでしまうこともあるためです。
また、同じ症状だからと取り置いた薬を後から飲んだり、他の人に処方された抗生物質をもらって飲んだりすると、思わぬ副作用に苦しむおそれがあります。抗生物質は、指示された通りに服用することが大切です。
抗生物質に限らず、薬を服用するときは水か白湯で飲むことが大切です。
胃が弱いからと、牛乳で抗生物質を服用する方がいらしゃるかもしれません。しかし、一部の抗生物質の中には、牛乳と一緒に飲むと、牛乳に含まれるカルシウムが抗生物質の成分と結合して吸収率がかなり悪くなってしまう(水で服用したときと比べて3分の1から4分の1になる、と言われています)ことが明らかになっています。薬の服用時はもちろん、服用後も2時間程度は牛乳を飲まないようにしましょう。
また、水なしで服用すると、薬がのどが貼りついてその部分の粘膜を傷めてしまうこともありますし、薬は水に溶けることで吸収がよくなります。また、水分多めで服用すると胃の保護にもつながりますので、コップ1杯(約200cc)の水か白湯で飲むようにしましょう。
たとえば1日3回、食後に抗生物質を服用するようにと指示されたものの、仕事が忙しくて飲み忘れてしまった場合、思い出したときに服用するようにして、1日3回のペースを守るようにしてください。もし、食事も摂っていない場合は、少しおやつを食べてから服用するのがおすすめです。次に服用するときは、前に服用してから最低4時間はあけるようにしてください。
なお、回数を合わせるために一度に2回分の薬を飲むことは絶対にやめてください。体内に想定以上の薬の成分が入ってしまうため、思わぬ副作用が出てしまう恐れがあります。
処方された抗生物質は、指示されたとおりに服用することが大切です。手元に水もしくは白湯を用意し、時間を決めて定期的に服用しましょう。もし飲み忘れた場合は気づいた時に服用すること、次に服用するときは4時間以上空けることを守り、「忘れた分も」と、一度に2回分の薬を服用することは控えてください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。