硝酸薬ってどんなときに服用する薬なの?

2019/6/27

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

硝酸薬と聞いてもどんな薬なのかイメージが沸かない方も、「ニトログリセリン」と聞けば心臓に異常がみられたときに服用する薬かもしれない…といったイメージが沸くのではないでしょうか。この記事では、ニトログリセリンを始めとする硝酸薬の働きや種類、副作用について解説します。

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硝酸薬ってどんな薬?

硝酸薬(しょうさんやく)は、冠動脈などの血管を広げて血流量を増やし、全身の血の巡りをよくして心臓の負担を軽くする薬で、狭心症の症状などを改善します。狭心症では、血管が狭くなり心臓の筋肉に十分な酸素が届かなくなることから、胸の痛みやしめつけ、息苦しさなどの症状があらわれます。

体内で血管壁などの細胞に作用してこのような血管を広げるのが、一酸化窒素です。硝酸薬は体内に入った後、一酸化窒素を作り出し、血管を拡げて心臓の負担を軽くします。硝酸薬には、狭心症などの発作の予防的な治療薬と、発作時の治療薬があり、そのほか、薬によっては心筋梗塞などでも使用する場合があります。

主な硝酸薬は?

硝酸薬には、カプセル剤や錠剤などの内服薬、注射薬、貼り薬のほか、発作時に使われる舌下錠やスプレーがあります。

一硝酸イソソルビド(商品名:アイトロール®︎)
肝臓の代謝を受けにくいのが特徴です。
硝酸イソソルビド(商品名:ニトロール®︎、フランドル®︎)
錠剤、スプレー、カプセルタイプがあります。剤形によって、使用目的が変わります。
ニトログリセリン(商品名:ニトロペン®︎、ミオコール®︎)
発作が起きたときに舌の下に入れる薬です。ニトロペン®︎は錠剤、ミオコール®︎はスプレー剤です。

硝酸薬を服用中に気をつけることは?

循環器症状としてめまい、ふらつき、動悸などがあらわれたり、精神神経系症状として頭痛や脱力感などの症状があらわれる場合があります。頭の血管が拡がることで起こる頭痛やめまい、熱っぽさは、飲み始めにあらわれることがあっても次第に慣れていくことがほとんどです。

ただし、アルコールを摂取すると硝酸薬の血管拡張作用が増強され、血圧低下などの症状があらわれることがあるので注意が必要です。また、バイアグラ®︎やレビトラ®︎(いずれも男性用の性的不能治療薬です)と一緒に服用すると、生命に関わる血圧低下がおこる場合があるため、絶対に避けなければなりません。

なお、ニトロペン®︎の服用は錠剤を舌の下に置き、唾液で溶かします。もし飲み込んでしまったらもう1錠服用し、1回の発作で3錠まで服用しても効果がない場合や、20分以上発作が続く場合はすぐ医師・薬剤師に連絡しましょう。

おわりに:硝酸薬は、狭心症などの発作を止めたり、予防するために用います

硝酸薬は、冠動脈などの血管を広げ心臓の負担を軽くすることで症状を改善する薬で、体内に入ると血管を広げる一酸化窒素を作り出し、胸の痛みやしめつけ、動悸などをおこす狭心症などの治療に用いられています。カプセル錠や舌下錠などの内服薬、注射薬や貼り薬などが症状に応じて使われます。バイアグラ®︎やレビトラ®️とは絶対に一緒に服用してはいけないほか、飲酒にも注意が必要です。

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