記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/6/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
カルシウム製剤は骨の主成分であるカルシウムを補充し、骨を強くするなどのはたらきがあります。今回はカルシウム製剤の役割や副作用などをご紹介します。
カルシウム製剤とは、カルシウムを体内に取り入れることで高リン血症や骨粗しょう症などを改善するものです。主に有機酸系カルシウム製剤と無機系カルシウム製剤の2種類あります。
カルシウムは骨を強くし、新たに骨を作り出す働きがあります。また、消化管内でリンと結びつくことによってリンを排出し、腎不全などでみられる高リン血症の改善に役立ちます。さらに、胃酸を中和して下痢などを改善する効果も期待できます。
有機酸カルシウム製剤は、主に骨粗しょう症で使われるものです。主なカルシウム製剤として、主に以下のようなものが挙げられます。
特に小児での下痢症状、副甲状腺機能低下症、低カルシウム血症でのテタニー(手足に起こるしびれのこと)などを改善する目的で使われます。
副甲状腺機能低下症、低カルシウム血症でのテタニー症状に効果が期待できます。また注射剤、粉薬である散剤があり、その用途に応じて選択されます。
骨粗しょう症、低カルシウム血症でのテタニー、骨軟化症などを改善する目的で使われます。
沈降炭酸カルシウム、コレカルシフェロール、炭酸マグネシウムを配合しています。骨粗しょう症を改善する薬(デノスマブ製剤など)を投与した際、起こる可能性がある低カルシウム血症などに対して使われます。口の中で溶かすか、かみ砕いて服用します。
カルシウム製剤の主な副作用には、便秘などの消化器症状が考えられます。また、まれに長期間の服用で腎結石や高カルシウム血症などがみられることがあります。ニューキノロン系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質と併用することにより、これらの製剤の吸収を妨げる恐れがあります。そのため、場合によっては、カルシウム製剤との併用時に服用の間隔を空けることがあります。
カルシウム製剤は骨粗しょう症の治療で使われることが多い薬ですが、高リン血症を改善するために用いることもあります。副作用として便秘などの消化器症状がみられたり、併用すると効果を妨げてしまう薬もあります。もし、カルシウム製剤を服用することになったら、必要に応じて現在服用している薬を医師に伝え、適切な指導のもとで服用していきましょう。