トラネキサム酸は美白だけじゃなく、止血薬としても使われるの?

2019/5/24

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

美白に効果的といわれるトラネキサム酸は、止血薬としても使用されることがあるのはご存知でしょうか。今回はトラネキサム酸のはたらきや、その薬による副作用などをご紹介します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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止血薬として使われるトラネキサム酸とは

トラネキサム酸は必須アミノ酸のリシンをもとに人工的に合成され、血液を固める成分であるフィブリンが分解するのを抑制するはたらきがあります。そのため、再出血を抑えたり、出血を止めやすくする止血薬として広く知られています。

また、炎症を引き起こす「プラスミン」を抑える抗プラスミン作用をもっています。フィブリンを分解するはたらきがあるプラスミンを抑制することにより、炎症を抑え、のどの痛みや腫れ、口内炎などに効果が期待できます。

また、プラスミンはシミの原因であるメラニン発生に関わっているとされ、トラネキサム酸はこれをブロックすることによりシミの治療にも使われることがあります。また化粧品や内服薬としても使用されています。

トラネキサム酸の止血薬「トランサミン®︎」とは

トラネキサム酸(商品名:トランサミン®︎)の働きは、大きく分けて2つあります。

1つは血液を溶かす物質である「プラスミン」のはたらきを抑えることにより、止血作用があることです。さまざまな部位からの出血に使われ、安全性も高く、「抗プラスミン薬」と呼ばれています。

2つ目は、アレルギーや炎症を抑えるはたらきです。プラスミンは炎症反応やアレルギーにも関わっているため、プラスミンのはたらきを弱めることにより、口内炎やのどの痛み、蕁麻疹や湿疹などに効果が期待できます。

手術中・術後の異常出血、再生不良性貧血、白血病などによる出血傾向、また鼻出血、腎出血、前立腺手術中・術後の出血などによる異常出血などに効果的です。また充血、腫脹、扁桃炎、口内炎などにも効果が期待できます。

トランサミン®︎服用中に起こりうる副作用は?

副作用として、発疹、胸やけ、嘔吐、食欲不振などが挙げられます。また、まれにではありますが、発作的に筋肉が収縮する場合があります。このような症状がみられたら、すぐに医師や薬剤師へ相談しましょう。

おわりに:トラネキサム酸は、止血や炎症などに効果が期待できる薬です

止血薬として使われるトラネキサム酸は、抗プラスミン作用により、止血や口内炎、湿疹など幅広い症状に効果を発揮する薬です。ただし副作用が起こる可能性もありますので、気になる症状がみられたら医師や薬剤師へ相談しましょう。

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