過食の原因はストレス?どうすれば食べ過ぎを防げる?

2019/5/31 記事改定日: 2022/3/31
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ストレスが溜まると、ついつい「過食」をしてしまいがちです。少し食べ過ぎるくらいであれば大きな問題はありませんが、食べたくないと思っているのに食べてしまったり、過食した後に強い罪悪感に襲われてしまったりするようなら、深刻な状態かもしれません。
この記事では、過食の原因とストレスの関係性、過食の対処法について解説します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

つい過食に走ってしまうのはストレスが原因?

過食とは文字通り食べ過ぎのことですが、ダメだとわかっていてもつい過食してしまう原因として以下の2つが考えられます。

無理なダイエットによるストレス

1日1食、○○しか食べないなどの「極端な食事制限」はストレスが大きく、無理に行っても途中で挫折し、リバウンドで食欲が抑えられなくなってしまうという結果が起こりやすいです。このような過食は「食欲を抑えられなかった」という罪悪感の原因になり、極端なダイエットと挫折を繰り返し、度重なるリバウンドで体重が増えて罪悪感がさらに強くなるという悪循環に陥りやすくなります。

精神的なストレス

ストレスは食欲不振だけでなく、食欲亢進を引き起こすこともあります。ストレスによる食欲亢進では、一度に大量の食事を食べたり、一日中食べ続けたりしてしまうことが多いといわれています。「ストレス食い」「気晴らし食い」などとも呼ばれ、大量に食べることでストレスを解消しようとしている行動と考えられています。

食べることでストレスが解消される理由の一つに、甘いものや炭水化物などの糖質が「β-エンドルフィン」という快楽物質(脳内麻薬)の分泌を促進することが挙げられます。このような行動を続けると「糖質を食べると一時的に幸せになれる」という図式がインプットされ、ストレスが溜まるたびに炭水化物や甘いものを食べたくなってしまうのです。

もちろん、甘いものや炭水化物を全く食べてはいけないということではありませんが、「ストレスが溜まったから」と、ドカ食いするのは根本的な解決になりません。しかも、食べたときは一時的に幸せな気分になりますが、その後、ついつい過食してしまったという罪悪感で余計にストレスを感じてしまうことにもなりかねません。

ストレスによる過食は脳の働きが関係する?

ストレスによる過食は、甘いものや炭水化物だけとは限りません。こうした過食には、ストレスに対する脳の働きが関係している場合があります。

まず、ストレスが脳に溜まっていくと、「大脳辺縁系」が興奮し、「ドーパミン」というホルモンが多く分泌されます。ドーパミンは、アドレナリンやノルアドレナリンなどの「交感神経を活性化させるホルモン」になる前の物質でもあり、「気分が良い」「心地良い」という快感を感じるときに出るとされています。

ドーパミンは、快楽、意欲、食欲、性欲、探究心などを司るホルモンです。ストレスによってドーパミンが放出されると、摂食中枢が刺激され食欲が高まってしまいます。この作用を利用して、例えばうつ病で食欲が低下している人などには、ドーパミンを増やす薬剤を投与することもあります。

また、ストレスを感じると体は対抗して「コルチゾール」というホルモンを分泌します。コルチゾールは、ストレスによって低下してしまう代謝作用を促進し、炎症を抑える働きがあります。身体機能を維持するために大切なホルモンではありますが、コルチゾールには食欲を抑制する「レプチン」というホルモンの働きを抑制する作用もあります。

コルチゾールが過剰に分泌されるとレプチンが正常に満腹中枢を刺激できなくなるため、脳から「もう満腹なので食べるのをやめなさい」という信号が送られなくなり、気が済むまで食べ続けてしまうという行動を引き起こしてしまうのです。

ストレスによる過食を防ぐ方法はある?

ストレスによる過食を防ぐには、過食だけを抑えようとするのではなく、根本的な原因であるストレスそのものを取り除くことが大切です。まずは以下のことを心がけましょう。

食事以外のストレス解消法を探す
  • 趣味に没頭する、軽い運動を習慣づける、など食事以外のストレス解消を行う
  • 悩みや不安があるときは一人で抱え込まず、身近な人や専門家に相談する
  • 気分転換や質の良い睡眠を心がける
無理なダイエットをしない
  • 極端なダイエットは結局過食を招いてしまうことがある
  • ダイエットは時間をかけて少しずつ行うことを心がける
健康的な食生活を送る
  • がつがつと大量に食べず、少量ずつよく噛んで食べる
  • 1日2食など不規則にならないよう、1日3食をできるだけ規則正しく摂る

まず、食事以外にも楽しめることやリラックスできることを探し、食事以外のストレス解消法を見つけるようにしてください。ストレスにつながる悩みや不安があるときは一人で抱え込もうとせず、身近な人やカウンセラーなどに相談するのもおすすめです。

また、極端なダイエットを避けることも大切です。「食べる量を極端に減らす」「1種類しか食べない」といった極端なダイエットは、体調不良やリバウンドの原因になりますし、かえってストレスを溜めてしまうことになります。

リバウンドを起こさないためには、1カ月あたり減量して良いのは体重の5%までといわれています。体重が50kgの人ではマイナス2.5kgまでの減量がひとつの目安です。ダイエットは少しずつ、こつこつと時間をかけて行うことを心がけましょう。

1日3食を規則正しく食べることが理想ですが、決まった時間に食べられないときも、慌ててがつがつと食べないようにしてください。食事はよく噛んで少しずつゆっくりと食べると、満腹中枢が刺激され、少ない量でも満腹感を得られやすくなります。

「寝る」ことがストレス解消になることも

睡眠は、手軽でおすすめできるストレス解消法です。睡眠は、体と脳の休息の時間であり、「その日に受け取った情報」を脳が整理をする時間でもあります。睡眠中、必要な情報は記憶として定着させ、不要と判断した情報は捨てて忘れます。この「忘れる」ことこそ、ストレスの原因となる嫌な感情やイライラの解消に役立ちます。

また、睡眠不足になると、食欲を抑制する「レプチン」の分泌量が減り、さらに食欲を増加させる「グレリン」の分泌量が増えてしまいます。グレリンの分泌量が過剰に増えると、食欲が刺激され、過剰に食べ過ぎてしまう原因になります。睡眠は、ストレス解消だけでなく、過食そのものを抑えることにも役立ちます。

ストレスで食べられなくなったときの対処法

ストレスが長期間続くと、食欲がなくなってしまうこともあります。食欲がないと十分な栄養やエネルギーを補給できなくなり、気力と体力が衰えます。このようなときは「泣くこと」がおすすめです。感動的なストーリーの映画や読書などでたっぷり涙を流すと、不思議と心の中がすっきりします。

ただし、悲劇やバッドエンドの作品を選んでしまうと、余計にストレスが溜まってしまうこともあるため注意しましょう。ハッピーエンドでハートウォーミングなストーリーを選ぶことがポイントです。

ストレスがある程度解消されて気持ちが軽くなってきたら、お笑いなどで活力を得るのも大切です。作り笑いをするだけでも、笑顔と同じように体に良い効果をもたらすことがわかっています。笑顔を作るのも大変なときは、「は・ひ・ふ・へ・ほ」を少し大きめに口を開けて発音することを意識するだけでも、笑顔に近い顔の動きになります。
以上を組み合わせ、上手にストレスを解消していきましょう。

神経性過食症が原因の過食に注意

過食は、ストレスではなく、神経性過食症が原因の可能性があります。神経過食症は、食欲のコントロールができなくなり、頻繁に過食を繰り返してしまう摂食障がいであり、過食の後には無理に吐いたり下剤を使ったりという「体重を増やさないための行動」もセットで見られます。しかし、人前ではこれらの行動をしないことが多く、周囲の人は気づきにくいです。

本人も病気だとは思っておらず、助けを求めないことも少なくありません。しかし、治療を受けずに長く放置していると体にさまざまな悪影響が生じるほか、抑うつや不安などの精神症状が悪化することがあります。

神経性過食症の症状

神経性過食症は、一見「やけ食い」と似ていることもあり、はっきりと区別するのが難しいです。しかし、神経性過食症では大量の食べ物をまるで体に詰め込むように一気に食べることから、やけ食いよりもより激しい食べ方になるのが特徴です。英語を直訳して「むちゃ食い」などと呼ばれることもあります。

「食べたいという衝動」なら、意志の力でコントロールできるのでは?とも思われやすいですが、神経性過食症の場合、自分でもどうにもできない強い衝動が襲ってきます。しかも、本人は食べたくて食べているわけではないため、過食の後には無理矢理吐いたり下剤を使ったりする、過食時間以外は絶食するなど、体重を増やさないための強迫観念のような行動も見られます。

しかし、食べた後に吐くことを繰り返し続けると、唾液腺が腫れたり、逆流してきた胃酸で歯の表面が溶けたりすることがあります。また、嘔吐と下剤でカリウムがどんどん流出してしまうと不整脈のリスクが高まるため、体重は正常の範囲でも血液検査や心電図検査では異常が現れることもあります。

おわりに:食べ過ぎはストレス解消で解決できる場合がある

がまんできないほど食べ過ぎる「過食」は、ストレスや病気が原因になる場合があります。予防や解決のためには、まず「ストレスを溜め込まず、食事以外のストレス解消法を実行する」ことが大切です。また、食生活と睡眠習慣を見直すことでも過食を防ぐことができます。極端なダイエットも過食とストレスの悪循環に陥りやすいため、ダイエットは‘気長にこつこつ取り組むようにしましょう。

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