ストレスの原因とストレス耐性について

2025/2/12

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

生きていくうえでストレスは避けられないものであり、ある程度つきあっていく必要はあります。しかし、複数のストレスの原因やストレス耐性の影響により、普段なら耐えられるストレスがきっかけで不調に陥ってしまう可能性があります。この記事では、ストレスの原因とストレス耐性について、ストレスの対処法もあわせて解説していきます。

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ストレスのおもな原因

ストレスのおもな原因は、大きく分けて以下が挙げられます。これらのストレス要因は一種類だけが原因というわけではなく、たいていは数種類の要因が複雑に絡み合っています。ひとつの原因だけを取り除くのではなく、自分の生活においてどのようなストレスがあるのか、複数の原因があることを前提に考えてみることをおすすめします。

人間関係
職場やプライベートなど、人とのやり取りによって生じるストレス
仕事
残業が多い、休日がほとんどない、責任が重い、やりがいを感じられないなどのストレス
睡眠不足
仕事が忙しかったり、不安で眠れなかったりすることなどで、睡眠が足りないことによるストレス
性格
真面目で完璧主義、自分の感情を抑えがちなど、性格が関係するストレス
テクノストレス
パソコンや携帯電話などを長時間操作する疲れによるストレス

人間関係

人間関係は、ストレスの原因として挙げられやすい原因のひとつです。仕事でもプライベートでも、人とのやり取りはどうしても自分の思い通りにならないことが多く、想定外の事態が起こることも少なくありません。そのような状態になると、ストレスが生じやすくなります。

仕事

仕事では、残業が多い・休日が少ないなどの身体的なストレスと、役職やポジションに対する責任が重かったり反対に仕事がほとんどなくやりがいを感じられなかったりするなどの精神的なストレスを受ける可能性があります。

睡眠不足

睡眠不足はストレスによって起こることもありますが、睡眠不足によってもストレスが生じ、さらにストレスが溜まるという悪循環に陥る可能性もあります。睡眠不足は、体調不良・集中力が続かないなどの状態を引き起こし、仕事やプライベートでのトラブルの原因になる可能性もあります。

性格

真面目な性格で完璧主義な人や自分の感情を抑えてしまいがちな人はストレスが溜まりやすく、緊張しやすい・心配性・短気などの性格もストレスにつながりやすいといわれています。自分の思い通りにならない不満や言いたいことを抑えるストレス、緊張や心配で体がこわばることもストレスになる可能性があります。

テクノストレス

現代特有のストレスと言えるのがテクノストレスです。パソコンや携帯電話、TVゲームなどの画面を長時間見て操作していると、神経が疲れてストレスが溜まることがあります。また、SNSなどの発達によってこれらのツールを常に使っていないと人間関係や現代社会についていけなくなるという不安や焦りが精神的なストレスになることもあります。

ストレスによる不調の出方とストレス耐性について

同じストレッサー(ストレスの原因)によるストレスを受けても、心身への影響には個人差があり、不調の出方も変わってきます。例えば、精神的なストレスがかかるといつも頭痛がするという人もいれば、不安やイライラなどの心理的な部分に悪影響が及ぶ人もいます。また、ミスや遅刻などの行動面に出やすい人、依存や自暴自棄になるなど考え方や認知にゆがみが生じる人もいます。

ストレスに対するこうした一連の反応を「適応反応」と言いますが、適応反応の出方に個人差があるのはストレス耐性(ストレスに耐えるやり方やその強さ)に個人差があることが関係しているといわれています。また、普段はストレス耐性が高い人でも、大きなミスを経験した直後には自信を喪失し、些細なストレスも大きく感じてしまうこともあります。

ストレス耐性の要素

ストレス耐性は、以下の要素で決まるといわれています。

感知能力
ストレッサーに気づきやすいかどうか
回避能力
ストレスを感じやすい性格かどうか
処理能力
ストレッサーをうまくなくしたり弱めたりできるかどうか
転換能力
ストレスがかかったとき、良い意味に捉えることができるかどうか
経験
今までどんなストレッサーにどれくらいさらされたか
容量
ストレスをどのくらい受け止めきれるか

ストレス耐性は、生まれ持った性格(脳機能)や環境に左右される部分と自分の意識で改善できる部分があります。そもそもの資質に左右される「感知能力」「回避能力」「容量」などは個人の努力で解決できない部分ですが、「処理能力」「転換能力」「経験」などは努力である程度解消できる部分です。

例えば、ストレッサーを上手になくしたり弱めたりする「処理能力」は、「ストレッサーそのものを回避する」「ストレッサーを弱めるよう上手にアプローチする」などの方法で高められます。「転換能力」も、「このストレスは自分を鍛えるための良いものなんだ」と、意識を少し変えるだけで、体に及ぼす影響が良い方向に変わることがあります。

ストレスの対処法

ストレスで体調が悪くなっている場合、自分で対処する方法と周囲の人や専門家を頼る方法があります。

自分でできるストレス対処法

自分でできるストレス対処法の例として、以下が挙げられます。これらの対処法を試してみても症状が緩和しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 十分な休息をとる
  • 外出して気分転換をする
  • 深呼吸をして自律神経のバランスを整える
  • 趣味に没頭する
  • メンタルトレーニングをする

周囲の人や専門家を頼る方法

周囲の人や専門家を頼る方法としては、以下が挙げられます。家族や友人に相談するだけでも症状が緩和することもありますが、基本的には、悪化・慢性化する前に医療機関を受診することをおすすめします。

  • 家族や友人に症状を相談する
  • 病院を受診する
  • 病院で処方された薬を飲む

おわりに:ストレスは自分で対処できる場合もあるが無理は禁物。ツラいときは早めに医療機関を受診しよう

ストレスの原因には、人間関係・仕事・睡眠不足・性格・テクノストレスなどがあり、不調の出方にはストレス耐性が関係することもあります。ストレスで不調が現れているときは複数の原因が絡み合っていることが多く、普段はストレス耐性が高くても度重なるストレスに疲弊して不調に陥ってしまうこともあります。ストレスによる不調は自分でできる対処法で緩和することもありますが、日常生活に支障が出るほど症状が重い場合や長期間続いている場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

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