1日の塩分の摂取量の目安と過剰摂取のリスク

2021/9/16

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

日本人は、世界全体からみると塩分摂取量が多いです。塩分を摂りすぎると血圧の上昇やむくみといった不調が現れるようになり、慢性化すると命に関わる病気を引き起こす原因になります。
このような状況を防ぐには、日ごろから塩分控える「減塩」を心がけることが大切です。この記事では、1日の塩分摂取の目安と過剰摂取のリスク、減塩成功のポイントについて解説をします。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

1日の塩分の摂取量の目安はどのくらい?

塩分摂取量の目安は、各機関によって以下のように定められています。

  • WHO世界保健機関…5g未満
  • 厚生労働省…男性7.5g未満、女性6.5g未満
  • 高血圧学会…6g未満

このように、それぞれの機関によって目安の上限が異なっています。ちなみに、厚生労働省が公表している日本人の1日あたりの平均塩分摂取量は、男性が10.9g、女性が9.3gであり、基準よりも多いことがわかっています。

塩分を摂りすぎるとどうなるの?

短期的であれば、塩分を摂りすぎても余分な塩分は体外へ排泄されます。しかし、塩分の過剰摂取が長期化すると、余分な塩分を排泄しきれなくなり、体内に残ってしまうことがあります。
この状態が続くと、以下の症状が現れる場合があります。

血圧上昇

体内のナトリウム濃度が高くなると、体は適正なナトリウム濃度に下げようとします。すると、細胞にある水分が血液中に移動して血流量が増えます。

血圧は、血流量や心拍出量(心臓が血液を全身に送り出す血液量)などによって決まります。塩分の過剰摂取で血流量が増えると、血圧も上昇します。

むくみ

体液は血管内外にあり、動脈から漏れ出た体液は静脈での再吸収やリンパ管からの排出などによりバランスを保っています。しかし、塩分を多く摂ると、血管外に漏れ出る体液が増えることで再吸収と排出のバランスが崩れ、「むくみ」が引き起こされます

喉の渇き

血液中の塩分濃度が上がると、体は塩分濃度を下げようと細胞にある水分が細胞外へ出ていくため、喉が渇きやすくなるといわれています。

過剰摂取が続くと深刻な病気の原因に…

塩分の過剰摂取で血圧が高い状態が続くと、血管や心臓への負担が蓄積し、動脈硬化を引き起こすことがあります。また、塩分の過剰摂取が続くと、余分な塩分を排泄してくれる腎臓にも負担がかかります。

塩分の過剰摂取は、以下のような病気の原因にもなるため、早めに減塩を始めることが大切です。

  • 高血圧
  • 心肥大
  • 心不全、心筋梗塞
  • 脳卒中
  • 腎結石、腎不全
  • 胃がん
  • 骨粗しょう症 など

1日あたりの塩分摂取量を抑えるには?

塩分摂取量を少なくするためには、主の方法があります。

表示されている塩分量をチェックする

外食やコンビニで食べものを買う場合は、表示されている塩分量を確認してみましょう。また、かまぼこやちくわなどの練りもの、ベーコンやハムなど肉の加工食品は塩分が多いので、注意してください。

麺類のスープ、つけ汁は残す

うどんやそば、ラーメンなどの麺類には1食で約5g〜7kgほどの塩分が含まれています。このうち、スープの塩分量は約3g程度です。スープや汁は全部飲みきらず、残すようにすると塩分摂取量を抑えることができます。

調味料をうまく活用する

塩分は、調味料をうまく使いこなすことで減らせます。たとえば、顆粒の和風だしの多くは塩分が含まれているため、昆布やかつおなどを使って自分でだしを取るようにすると、塩分を減らすことができます。

また、コショウなどのスパイス、ミョウガやハーブなどの香味野菜、すだちなどの柑橘類、お酢などで料理にアクセントをつけると、塩分を多く使わなくても満足できる味に仕上がります。

調味料はきちんと計る

食事に含まれる塩分の70%が調味料に含まれているといわれています。たとえば、醤油は大さじ1杯で2.5g程度、みそは大さじ1杯で2.0g程度の塩分が含まれています。
調味料をきちんと計ることで、自然と塩分の摂取量を減らせますし、塩分量を常に意識することで、減塩への意識も強くなります。

おわりに:日ごろから塩分摂取量を意識して、塩分を摂りすぎないようにしましょう

塩分を摂りすぎると、むくみや血圧上昇などの症状がみられるだけでなく、高血圧や心臓病などにつながる恐れもあります。日頃から塩分の量に気をつけるよう心がけ、病気を防ぎましょう。

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