記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/7/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
プール熱は小さなお子さんによくみられる夏の感染症のひとつです。発症すると発熱に加えて目の症状がみられるのが特徴です。この記事では、プール熱の症状や対処法とともに、発症したお子さんのケア方法についても解説します。
「プール熱(正式名:咽頭結膜熱)」とは、「アデノウイルス」に感染することによって風邪と似た症状があらわれる、幼児から学童にかけての子供がかかりやすい感染症です。1年中かかる可能性はありますが、特に6月頃に増え始め、7~8月をピークとして10月頃まで流行がみられます。感染経路は、咳やくしゃみなどによる飛沫感染、タオルの共有や手などを介した接触感染ですが、塩素濃度が不十分なプールで水を介して目の結膜から感染し流行することがあったことからプール熱とよばれています。
主な症状は、高熱、咽頭炎、結膜炎の3つで、急な発熱で発症し、咽頭炎によりのどに痛みがあらわれます。結膜炎により目の充血、痛み、かゆみ、目やにがあらわれ、まぶしくなったり涙が止まらなくなることがあるほか、腹痛や下痢、咳などをともなうこともあります。3~7日間の潜伏期間を経て発症し、熱は3~4日で、のどや目の症状は1週間ほどで落ち着いてきます。まれに肺炎など、重症化することがあるので注意が必要です。
発熱時は、体内の熱が発散しやすいように衣類や布団は少なめにし、腋の下や脚の付け根を氷嚢を包んだタオルなどで冷やすと熱が下がりやすくなります。発汗による水分不足に気をつけるようにし、高熱でつらいようであれば医師の指示に従って解熱剤を利用しましょう。
下痢を併発すると脱水症を起こしやすくなるので、子供用のイオン飲料や麦茶、飲みやすい物で水分補給するようにし、食欲がないときやのどの痛みがひどいときにはプリンやゼリー、アイスクリームのような口当たりの良い物で水分を補給します。もし、尿が出なくなってきたり、ぐったりしてきた場合は、受診して点滴などの処置をしてもらう必要があります。
目やにはぬるま湯でぬらしたガーゼやティッシュペーパーなどで目頭から目じりへそっと拭き取り、一度使ったガーゼなどは捨てるようにします。処方された点眼薬は、子どもを仰向けに寝かせて頭を両膝ではさみ固定してから目頭に1~2滴たらすようにすると、上手にさすことができます。容器の先がまつげなどに触れないように注意しながら、処方通りにきちんとさすようにしましょう。
プール熱は感染力の強い病気です。目やにがでている間は感染の可能性があるので、目の症状が治まるまでは外出は控えた方がよいでしょう。登園・登校については、学校保健法により「主要症状が消退した後2日を経過するまでは、出席停止」と規定されています。発熱などの主な症状が治まったらその2日後から登園・登校は可能ですが、判断は主治医と相談し、学校・幼稚園とも話し合って行うようにしましょう。
プール熱(咽頭結膜熱)は、特に夏に流行しやすい子供がかりやすい感染症です。感染力が強く、飛沫感染や接触感染で広がります。学校保健法により、登園・登校は、発熱などの主な症状が治まったのち2日たてば可能と規定されていますが、判断は医師、学校・幼稚園と相談するようにしてください。