記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/6/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
夏になると、熱中症に関するニュースを見聞きすることが増えてきます。この記事では、熱中症になりやすい方とともに、倒れないためにどのような対策をとればよいのかを解説します。
一般的に、最高気温が25度を超えると熱中症にかかる人が出始め、30度を超えると熱中症が原因で亡くなる人が増加するといわれています。また、気温が低くても、湿度が高ければ汗が蒸発しないため、熱中症になる可能性が高くなります。したがって、25度以下であっても、湿度が80%以上である場合には注意が必要です。
また、風が弱いときも汗が体に張りついて蒸発しづらくなるため、体温が下がりにくくなります。その結果、体内に熱がこもりやすく、注意が必要です。直射日光を浴びたり、地面からの照り返しにあたったりすることも熱中症の危険が高くなります。特に、子供やペットは大人よりも地面から近い場所にいるため、照り返しによって熱中症を発症するリスクが高くなります。
なお、熱中症は室内でも起こります。救急車を呼んだ際の発生場所を調べると、自宅などの居住施設が37%と最も多く、次に交通施設や道路が25%となっています。
主に以下のような方が熱中症にかかりやすいといわれています。
乳幼児や小児は、体温調節機能がまだ発達していません。中でも汗をかく機能がまだうまくはたらかないため、体温が上がりやすいと考えられています。また自分で服を脱ぐ、水分を補給するなどの対策ができないため、熱中症にかかる恐れが高くなります。
高齢者は体温調節機能が低下しているため、熱が体の外へ逃げにくくなっています。また、のどの渇きや暑さにも鈍感になるので、熱中症になりやすいといえます。
風邪や疲労などで体調不良となっている場合には、体温調節機能が低下しています。また、二日酔いや下痢などで脱水症状がみられる人も熱中症になりやすいです。軽い脱水症状があるとき、のどの渇きを感じにくくなるためです。
熱中症を防ぐために、主に以下の点に気をつけましょう。
暑い日には、思っている以上に汗をかき、体内の水分が失われている可能性があります。のどが渇いたと感じる前から、こまめに水分を補給しましょう。汗をかくと水分と一緒にビタミンやミネラルも失われるため、ミネラルも一緒に補給できる麦茶がおすすめです。またアルコール類、緑茶やコーヒーなどのカフェインを多く含む飲み物は利尿作用があるので控えましょう。
外出する際には、日傘や帽子などを使って暑さから身を守りましょう。また家の中で過ごす場合でも、直射日光にあたらないよう、カーテンなどで遮ったり、エアコンなどで室温や湿度を調整したりしてください。衣類は通気性や吸収性のいい麻や綿を身につけると、体外へ熱が逃げやすいといわれています。またインナーを着ると、インナーと肌、インナーとアウターの間に空気が入り込み、熱気が外から入るのを防ぐ役目を担ってくれます。
普段からバランスのよい食事や睡眠時間をしっかりと取り、丈夫な体づくりを心がけましょう。吸水性や通気性のよい寝具を使ったり、扇風機やエアコンで睡眠環境を整えたりすることで、睡眠中の熱中症を防ぐだけでなく、次の日の体調を整えることにもつながります。
熱中症のサインとしては、筋肉痛や筋肉のけいれん(こむら返り)、めまい、顔のほてり、吐き気、まっすぐに歩けない、呼びかけに反応しないことなどが挙げられます。このような症状があらわれた場合には、主に以下のように対処しましょう。
まずは風通しのいい日陰や、クーラーの効いた室内などに移動させましょう。その後、衣類を脱がせて体内の熱を外に逃がします。また氷のうでわきの下や首元、太ももの付け根などを冷やして体温を下げましょう。できるだけ早めに冷やすことがポイントです。
経口補水液やスポーツ飲料などで、水分と一緒に塩分も補給しましょう。ただし、意識障害がある場合には水分が気道に入る恐れがあります。また、嘔吐などの症状がみられる場合には胃腸のはたらきが弱くなっている可能性があるため、口から水分を入れることは控えましょう。このような場合には、緊急で医療機関へ搬送することが最優先とされています。
衣類の調節やこまめな水分補給を心がけ、熱中症を予防しましょう。もし熱中症と思われる症状がみられたら、涼しい場所へ移動して冷却するなどし、大事に至らないようにしましょう。