記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/7/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
暑い季節が近づくにつれて気になる症状のひとつが熱中症です。めまいやふらつきといった症状から始まり、重症化すると意識障害に見舞われる恐れがあります。身近な人が熱中症になったとき、どのように対処すればよいのでしょうか?
熱中症は、高温多湿の環境のもとで体温調整が難しくなったり、体内の水分とミネラルのバランスが崩れたりすることで起こります。真夏はもちろん、春先や梅雨の合間など、暑さにからだがなれていない季節の急な暑さで起こることがあり、屋外だけではなく屋内でも起こる可能性があります。また、体調不良や睡眠不足など体調が万全でないときにも起こりやすくなります。
熱中症は、あらわれている症状によって軽度から重度まで分類されます。その目安が次のようになります。
軽度の場合や、中等度でも軽度に近いような段階の場合はセルフケアで改善することもあります。しかし、水を自分で飲めないような状態や、意識障害(意識がもうろうとしており、呼びかけにも応じない状態)のある重度まで進行すると命の危険性が高まるため、医療機関への搬送が急がれる状態です。
熱中症は、ある程度進行してから症状があらわれます。対処が遅れれば命を落とす可能性もあるため、何らかの兆候があったら、できるだけ早く適切な対処をすることが大切です。
熱中症で優先される対処方法は、重症度によって変わります。ちょっとした変化に気づき軽度の段階で適切な対応を行えば、セルフケアで改善がみられることもあります。しかし、中等度であっても自分で水分が飲めない状態や、意識障害や運動障害が起こって重度と考えられる状態では、手当が遅れれば後遺症がのこったり、最悪のケースでは死に至ることもあります。迷わず、すぐに救急車を要請しましょう。また、軽度や中等度でセルフケアを行っても、回復のきざしがないときは医療機関への受診がすすめられます。
症状が軽度であるときは、まずは可能な限り涼しい場所へ移動して、水で濡らしたタオルや氷で体を冷やします。また、水分や塩分を補給しましょう。経口補水液は、脱水状態でも水分やミネラルがすみやかに吸収されるよう調整されている液体です。水1リットルに対して、砂糖40g、塩3gを入れることで、簡単につくることができます。また、スーパーやドラッグストアでは、ペットボトルに入ったものが販売されています。万が一のときのために自宅や職場に用意しておくと安心です。
めまいや頭痛、吐き気などの症状がある中等度の段階では、まずは軽度の場合と同様に体を冷やし、水分を補給して安静にします。ただし、自分で水分や塩分がとれない場合はすぐに病院へ搬送することが必要です。
また、声をかけても反応がないなど意識障害があったり、けいれんを起こしているような重度の場合は、すみやかに救急車を要請します。救急車が到着するまでは、身体を冷やすなどの応急処置をします。ただし、意識がない状態で水を口に含ませることは危険があるため止めましょう。
たとえ軽度であっても、症状が改善しないときや悪化したときは医療機関へ搬送しましょう。
熱中症は、体温調整が難しくなり、体内の水分やミネラルのバランスが崩れることで、さまざまな機能の低下が起こる状態をいいます。熱中症は症状によって重症度があり、軽度から中等度の場合はセルフケアで様子をみます。しかし、症状が改善しないときや、自分で水分がとれない場合、意識がないなど重症の場合にはすみやかに医療機関への搬送が必要です。熱中症は、最悪の場合は命を落とす可能性もあります。早期の適切な対応が、悪化を防ぐことにつながります。