記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/8/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
夏風邪は高熱がそれほど出るわけではないものの、体温も室温も暑くなるのでつらいですよね。こうした夏風邪を引かないようにするために、どんなことに気をつければいいのでしょうか。この記事では、夏風邪対策のひとつとして、エアコンに着目し、エアコンによる夏風邪をひかないためのヒントをご紹介します。
夏にひく風邪のことを「夏風邪」と呼ぶことがあります。
風邪(かぜ)は、鼻水や鼻づまり、のどの痛み、声枯れ、せきやたんといった呼吸器に起こる症状のほかに、発熱や頭痛、だるさといった全身症状などがあり、検査をしても大きな異常はなく多くは1週間ほどで改善する症状を総称したものです。
ほとんどが何らかのウイルス感染がきっかけで発症しますが、夏と冬では活発なウイルスが異なります。冬にひく風邪は、低温や乾燥した空気を好むウイルスが原因となりますが、夏のウイルスは高温多湿を好み、梅雨から夏の暑さの中で活発に動きます。のどや腸で増えるため、のどの痛みや腹痛、下痢といった症状があらわれます。また、高熱ではなく、37℃台くらいの微熱が出ることも特徴といえます。
30℃どころか35℃を超える猛暑も珍しくない現代では、エアコンを使って部屋の温度を調節することは、快適さだけではなく熱中症の予防のためにも大切なことです。
しかし、エアコンの温度を低くしすぎることで、かえって体調不良を起こすこともあります。
エアコンが効いている室内は空気が乾燥しやすく、鼻やのどといった粘膜も乾燥しやすくなります。粘膜は、本来は細菌やウイルスが身体に侵入しづらくする役割がありますが、乾燥した状態では細菌やウイルスがくっつきやすくなります。
また、室内外の急激な温度差にも注意が必要です。人間のからだは、ある程度の環境の変化に対応できるよう自律神経という神経が内蔵や血管、分泌腺の調節を行っています。自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、反対の作用をしながらバランスを整えていますが、季節の変わり目や室内外の大きな温度差は、自律神経の働きを乱すことにつながり、からだのバランスを崩しかねません。結果として、ウイルスへの抵抗力が弱くなってしまう可能性があります。
体調不良を防ぐためには、夏の室内の温度は26~28℃くらいを目安にすると良いとされています。たとえエアコンの温度を設定しても、部屋の広さや日当たりなどによって、室内の温度や快適さは変わります。扇風機やサーキュレーターも上手に活用して、部屋の温度を調節しましょう。
エアコンの風が直接あたると、実際の温度以上に寒く感じやすいです。また、商業施設や映画館、大きなビルでは、冷房が強めになっていたり、個別の温度調整ができなかったりします。長時間を冷房のきいた屋内で過ごすときは、上着やストールなど自分で調整できる服装を心がけるようにしましょう。
夏風邪も、冬の風邪と同様にウイルスが主な原因です。外部からのウイルスの感染を防ぐためには、外出先から帰宅したら、手洗いやうがいをこまめにしたり、乾燥に注意をするとよいでしょう。
夏は日が長くなり、開放的な気分になって、ついつい夜遊びをしてしまう人もいるでしょう。暑さから食欲が低下したり、冷たいものばかりを食べたりしがちな人もいるかもしれません。いずれも、知らず知らずのうちに身体に負担がかかり、疲れもたまりやすくなります。食事や睡眠はしっかりとるよう心がけ、日頃から体調管理に努めましょう。
夏の風邪も、ウイルスが原因となって起こります。しかし、冬の風邪とは異なり、のどの痛みや咳に加えて、腹痛や下痢といったお腹の症状が特徴的です。高温多湿の現代の夏では、熱中症を予防するためにもエアコンの使用は欠かせませんが、あまりにも低い温度で過ごすと、かえって体調を崩しやすくなります。室温は適度な温度に調節をするとともに、感染予防のためには冬と同様に手洗いやうがいを行いましょう。