記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2023/12/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
栄養バランスを考えて食事内容を考えたり、不足した栄養をサプリメントで補ったりするなど、栄養に気を使う人が増えています。「アルギニン」は、美容や体のメンテナンス、疲労回復、成長期のケアなどを気にする人なら知っておきたい栄養であり、サプリメントや栄養ドリンクにも使われています。この記事ではアルギニンの作用と含まれている食べもの、摂取量の目安などについて、摂取するときの注意点もあわせて解説していきます。
アルギニンとはアミノ酸のひとつで、非必須アミノ酸に分類されます。アルギニンは体内で合成されるアミノ酸ですが、乳幼児や成長期の子供、重い怪我を負ったときや手術後などの体力が消耗しているときは、合成が十分にされないことがあります。アルギニンには以下の作用があり、加齢に伴い体内での合成量が減るため、健康な大人でも意識して摂取することをおすすめします。
脂肪の代謝促進、筋肉組織の強化、身長の伸びに影響します。ただし成長ホルモンの分泌が最も多いのは10代で、加齢に伴って減少し、40代になると約半分ほどまで低下するといわれています。
免疫機能を維持することで細菌やウイルスへの抵抗力が高まり、風邪などをひきにくくなります。
アミノ酸は、TCA回路(エネルギー代謝システム)でエネルギーを生み出し、効率よく疲労回復を促すことに役立ちます。また、肝臓の尿素回路を刺激して脳疲労の回復を促進することにも役立ちます。アルギニンも、エネルギー生産と脳疲労回復を促進する作用があります。
アルギニンは、体にできた傷の修復を促進する作用があるといわれています。
肌の角質層には天然保湿因子がありますが、その約40%がアミノ酸です。アルギニンを含むアミノ酸を適切に摂取することは、肌の健康維持に役立つ可能性があります。
アルギニンには血管拡張作用があり、血行促進に役立つといわれています。
アルギニンの1日の摂取量の目安は、2000~4000mg以上とされています。ただし、炎症や褥瘡など傷がみられる場合は約5000~7000mgが摂取量の目安になります。アルギニンは、以下の食べものに含まれています。また、効率よく摂取するには、「摂取のタイミング」に気をつけることもおすすめです。
アルギニンを過剰摂取すると、以下のような症状が現れる可能性があります。食べものに含まれるアルギニンで過剰摂取を起こすことはほとんどありませんが、サプリメントや栄養ドリンクでアルギニンを摂取する場合には過剰摂取に注意が必要です。また、特定のアミノ酸だけを過剰摂取した場合にアミノ酸の作用が低下することがあります。
疲れているときに栄養ドリンクを飲むことがあると思います。タウリンを含む栄養ドリンクは世界的に人気ですが、日本の薬事法ではタウリンは清涼飲料水として販売できません。そのため、日本の栄養ドリンクでは、タウリンの代わりにアルギニンが配合されていることがあります。アルギニンが配合されていることを知らずに栄養ドリンクを飲み、別途アルギニンのサプリメントを飲むと、過剰摂取になってしまうことがあります。栄養ドリンクやサプリメントを飲むときは、必ず配合されている成分と成分量を確認するようにしてください。
アルギニンは、体の成長や病気の予防、疲労回復などの補助に役立ちます。食べものから摂取する場合に過剰摂取になることはほとんどありませんが、栄養ドリンクやサプリメントで摂取するときには注意が必要です。栄養ドリンクとサプリメントを併用する場合は、とくに注意しましょう。