記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/8/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
甲状腺は、私たちの生命と健康維持に必要なホルモンを分泌する器官です。しかし名前を聞いたことはあっても、どこにあるどのような働きの臓器なのか、きちんと理解していない人も多いのではないでしょうか。今回は甲状腺について、位置と働き、発症し得る病気と治療法などを解説します。
首の前面、のどぼとけの突起のすぐ下あたりにある柔らかい臓器が、甲状腺です。縦4cm、厚さ1cm、重さ15g程度のとても小さな臓器で、蝶が羽を広げるように、気管を包み込むイメージで配置されています。小さくて柔らかいため、通常、見た目や皮膚の上から触っただけでは、その存在を感じることはありません。
働きとしては、以下のような作用を持つ「甲状腺ホルモン」を適量分泌し続けています。
なお甲状腺ホルモンは、食べ物から吸収した「ヨウ素」を材料に体内で作られています。
通常、甲状腺ホルモンは以下のような仕組みで、常に一定量が分泌されています。
甲状腺を直接刺激し、甲状腺ホルモンを分泌させている脳下垂体には、体内の甲状腺ホルモン量を感知する機能も備わっています。このため、健康な状態なら脳下垂体が体内の甲状腺ホルモン量を感知し、分泌量を調整する仕組みになっているので、甲状腺ホルモンが過不足することはないのです。
しかし、何らかの理由で甲状腺ホルモンの分泌量が多すぎたり、逆に少なすぎる状態になってしまうと、体にさまざまな異常や疾患をきたすようになります。
甲状腺の異常によって起こる代表的な病気として、以下の「甲状腺機能亢進症」「甲状腺機能低下症」「急性甲状腺炎」「甲状腺腫瘍」の4つがあります。
甲状腺の働きが異常に高まることで甲状腺ホルモンの分泌量が増え、体内の甲状腺ホルモン量が増えすぎてしまう病気です。「バセドウ病」がこれに分類され、異常な新陳代謝による痩身や動悸、喉の腫れ、眼球が飛び出て見えるなどの症状が見られます。
亢進症とは反対に、甲状腺の働きが異常に弱くなるために甲状腺ホルモンの分泌量が著しく低くなり、症状を表す病気です。代表的なのは「橋本病」で、発症するとむくみや倦怠感、無気力などの症状が出てきます。
何らかの原因で甲状腺が炎症を起こすことにより、働きに異常が出てしてしまう病気です。それぞれの急性甲状腺炎の症状や原因は、以下の通りです。
甲状腺に良性、または悪性の腫瘍ができる病気です。首のあたりにしこりや腫れ、物を飲み込むときの違和感がみられるのが特徴ですが、発症してもその8~9割は良性腫瘍だと言われています。
甲状腺の異常と病気を治すためには、医師の指示のもと、以下のような治療を行います。
首の前面、のどぼとけの下あたりにある甲状腺は、脳下垂体からの刺激を受けて代謝や臓器の活性化を促す「甲状腺ホルモン」を一定量分泌しています。非常に小さな臓器で、通常なら見た目や感触で存在を感じることはできません。しかし、何らかの理由で炎症や異常が起こると腫れや痛みが出たり、ホルモン分泌量に過不足が出て甲状腺疾患を引き起こします。本記事でご紹介したような自覚症状があるなら、すぐに医師の診断を受けてください。